
どうも、nickです。
月曜の書籍レビューの時間です。
今回紹介する書籍は以下になります。
今回は山根悟郎氏の歴代作曲家ギャラ比べ ビジネスでたどる西洋音楽史を紹介します。
教科書に載っているような作曲家の方々は、作曲だけで生計を立てていたと思われる方は多いのではないでしょうか?
しかし、実は彼らは作曲以外の副業を行なっていた方がほとんどなのです。
様々な収入源を持っていた作曲家たち

クラシックの作曲家と言うと、楽譜の売上や演奏会の公演などで収益を得ているのでは?
と思われる方が多いかと思います。
しかし、本書で紹介されている一流の作曲家であっても、何かしらの副業をおこなって生計を立てていたことがわかります。
ここでは3名の作曲家を例に、どのように作曲以外の収入源を得ていたのかを紹介します。
文筆と作曲との2刀流だったシューマン

シューマンはロマン派を代表するドイツの作曲家です。
トロイメライを作曲した人ですね。
クラシックに明るくない方でも、どこかで聴いたことがある曲ではないでしょうか?
彼は作曲だけではなく、「新音楽時報」という雑誌を創刊し、批評家としても活動していました。
この雑誌ではショパンやブラームスなどが後に紹介されることになり、彼らが世に広く知れ渡るきっかけとなります。
シューマンは10年に渡って、ほぼ一人でこの雑誌を主宰し、ドイツで最も有名な音楽雑誌と言われるようになりました。
驚きなのは、この雑誌は現在でも発行されていることです。
雑誌の執筆費は、収入面でも大いに貢献することとなります。
後述しますが、このように作曲家が兼業、副業をするのはごく普通のことでした。
早期リタイヤを実現させたロッシーニ
ジョアキーノ・ロッシーニは「セビリアの理髪師」など、オペラを中心に作曲活動を行っていたイタリアの作曲家です。
18歳でオペラの作曲家としてデビューして以来、彼の書くオペラは大ヒットし続けました。
彼は20年間で39作品を作曲するというとてつもないハイペースで作品を仕上げておりました。
しかし、37歳のときに「ウィリアム・テル」を発表後、なんと作曲家を引退してしまいます。
オペラで稼ぐだけ稼いで引退したロッシーニですが、その後はレストランの経営やサロンの開催に勤しんでいたそうです。
楽譜の出版やオペラの再演料などの不労所得もあったため、以後の生活には全く困らなかったそうです。
今で言うところの早期リタイヤを実現させてしまったのです!
不動産や株の運用も上手く行っていたようで、晩年の年収は1億5000万もあったと言われております。
そして、最終的に遺産は10億から20億あったそうです。
資産運用が相当うまかったのでしょう。
早期リタイヤしてここまでの財をなした例は極めて珍しいかと思われます。
謎の支援者がいたチャイコフスキー

チャイコフスキーは「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」などバレエ音楽や交響曲の作曲で有名なロシアの作曲家です。
駆け出しの頃の彼は、収入が少ないだけでなくかなりの浪費癖があったそうです。
しかし、彼には謎の支援者がいました。
それが、ナジェンダ・フォン・メック夫人という大富豪の未亡人なのです。

フォン・メック夫人はチャイコフスキーの音楽大変気に入っていたため、一方的に14年間、毎年約2100万円もの多額の資金援助をしていた。
何故この人物が謎なのかと言うと、チャイコフスキーは夫人と会うことが生涯1度もなかったからです。
やり取りは手紙と代理人を通してのみだったそうです。どういうこと?!
とはいえ、おかげでチャイコフスキーは作曲活動に打ち込むことができ、数多くの名曲を世に放つことがでたのです。
援助は突然打ち切られることとなったが、その頃すでにチャイコフスキーは国内外で有名になっていたため、生活に困ることはなくなっていました。
これらの作曲家の人生からわかること

本書で紹介されている作曲家の人生から、現代を生きる我々が学ぶべき点は3つあります。
副業、兼業が当たり前だった
本書で紹介されている作曲家の中で、作曲のみで生計を立てていたものはおりません。
指揮者や大学の教授、ピアノ演奏、中には公務員として働きながら作曲をしてるものもおりました。
近年「副業」が盛り上がってきているが、彼らクラシックの作曲家にとっては当然のことだったのです。
収入元は1ヶ所であるべきという考えは固定観念でしかないのです。
不労所得があとから付いてくるには時間がかかる。
作曲家が書いた楽譜の売上や、オペラの再演などは一種の不労所得であります。
しかし、一流と言われていた作曲家でも、楽譜の版権や演奏料が安定した収入になるには時間がかかっている。
ブログやYou Tubeの広告収入も同じであると思います。
こういった不労所得的なものは、安定した収入源になるにどうしても時間がかかるのです。
結果が出ないからといって、すぐに諦めてはいけないということなのだと思います。
そして、時間がかかるのだから、少しでも早く始めるのがいい。
これは多くのブロガーやYouTuberの方がおっしゃられています。
強力な支援者の存在が不可欠
強力な支援者、もといパトロンがいたかどうかも成功の大きな鍵だと思われます。
現代においては、チャイコフスキーの例のような資金面での援助はあまり現実的ではないかと思います。
しかし、精神的な援助や支えがあるかどうかは大切であると思います。
それは親族であったり同業者でったり、配偶者だったりが当てはまるかと思います。
応援してくれる人物がいる環境はとても大切です。
先ほど紹介したシューマンですが、本人の収益が安定するまでは妻のクララのピアノ演奏の収入で生活をしていたそうです。

当時、夫のシューマンよりも著名な演奏家であった彼女は、シューマンの才能を信じ、シューマンの作品を自らの演奏会で演奏したりするなど、シューマンの名声を高めるために奮闘していたそうです。
こういったことも強力な支援の1つであると思います。
この人生で何をしたいのかを明確に

本書で紹介されているどの作曲家も「作曲家として活躍したい」という明確な目標がありました。
その軸が生涯ぶれなかったことが、過去の偉大な作曲家が成功した理由であるとnickは思います。
教科書に出てくるような作曲家の中に、「なんとなく」とか「たまたま」で作曲家として活動していた方はおりません。
結局、どういう作品が生まれるかは、どういう生き方をするかにかかっている。どう生きるか、の指針を描くことを通して模索したい。どう生きるか、と、どう描くかの終わりのない思考のいたちごっこが私の生活の骨組みなのだ。
これは十勝出身の画家、「神田日勝」の言葉になります。
各作曲家の生き方は音楽にも現れているとnickは思います。
この人生で自分は何をしたいのか?
何に貢献できるのか?
これらを1番大事にして生きて生きたいとnickは思いました。
※神田日勝についての記事はこちらになります。
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