
どうも、nickです。
書籍レビューの回です。
今回紹介する書籍はこちらです。
今回は笹森壮大氏の「幼児期だからこそ始めたい 一生ものの音楽教育 」を紹介します。
本書はチェロ奏者でもある著者が代表を務める音楽教室「音の森」での活動を綴った本になります。
今回は幼児の音楽指導や子どもの教育に困っている方に向けて、音楽指導者が知っておくべき3つのポイントをまとめました。
音楽指導者が知っておくべき3つのポイント

今回解説する、音楽指導者が知っておくべき3つのポイントは次の通りです。
- 楽譜通りの演奏は難しい
- ネガティブな気持ちは吐き出していい
- 指導者は偉くない
順に解説していきます。
楽譜通りの演奏は難しい

1つ目のポイントは「楽譜通りの演奏は難しい」になります。
著者が、幼児に音楽教育を行う際に指導者が注意すべき点として次のように述べています。
幼児( 4~ 6才児)の前にモナリザの絵を持ってきて、「まったく同じように描いてください」という要求は、無茶なことだというのはわかりますよね。音楽で「お手本通りに弾きましょう」というのは、それぐらいレベルの高いことを要求しているのだと、教える側である大人が知っておく必要があります。
笹森壮大:幼児期だからこそ始めたい 一生ものの音楽教育
ここで筆者は、楽譜の通りに演奏することの難しさを説いています。
楽器演奏の上級者や指導者は、そもそも楽譜通りに演奏する難しさを忘れてしまっているのです。
子どもなのだから、できなくて当然なのです。
これは単純に、子どもは運動機能がや神経発達がまだ未熟であるからです。
子どもが大人ほど上手く体を扱えないことは、演奏に限らず日常生活でも同じことです。
たとえば、はしの持ち方や文字の書き方などなど。
指導者が生徒に提供すべきことは、できるようなるための支援やアドヴァイスになります。
できなかったことができるようになることが最も重要
レッスンでやり取りしていく過程で、子どもにとって大事なことは今までできなかったことができるようになる経験です。
その喜びは、指導者の方なら知っているはずではないでしょうか?
できなかったことができるようになったことを、生徒と共に共有できることがレッスンの意義であるとnickは考えています。
この、お互いの歩み寄りこそがレッスンの醍醐味ではないでしょうか?
ネガティブな気持ちは吐き出していい

2つ目のポイントは「ネガティブな気持ちは吐き出していい」です。
これは子どもの思い込みによるものなのですが、筆者は次のように述べています。
「できなくてイライラする」「難しいところを弾くのは面倒くさい」そういったネガティブな気持ちを、〝思ってはいけない気持ちなんだ〟と子どもたちが思ってしまっていることです”
笹森壮大:幼児期だからこそ始めたい 一生ものの音楽教育
このネガティブな気持ちを吐き出させるのも、教育ではで大事なことになります。
信頼を得るため
ネガティブな気持ちというのは、中々人には言えないものです。
ですが、「この人になら話しても大丈夫だ」
と子どもに思わせることで、信頼を得ることができます。
そうすることで、こちらの指導を子どもは素直に受け入れやすくなります。
これは指導者だけでなく、子どもにとっても良い影響があります。
生徒が気持ちを自分で整理することができるようになる
大人はついつい「そんなこと言っちゃダメ」、とか「思ってはいけない」など子どもに言ってしまいがちではないでしょうか?
ですが、上の発言は「ネガティブなことは思ってはいけないんだ」とプレッシャーをかけることになります。
ネガティブな気持ちを吐き出せないと、子どもは自分の気持ちの処理の仕方がわからないまま大人になってします。
そうなってしまうと将来、鬱や社会に適応できなくなるなどのリスクが増えてしまいます。
子どもは自分の気持ちを言葉で話すことで、自分の気持ちの整理、処理ができるように成長していくのです。

または日記など文字で書かせてもいいです。
今の気持ちを本音で話すことができる関係づくりが大切
このように、ネガティブな気持ちも含めてお互いに本音で話ができる関係性こそが、レッスンをより効果的に行うための秘訣になります。
学校のこと、家庭でのことなどレッスンとは関係のない雑談が意外と重要になるのです。
レッスンに息詰まったら、どうでもいいような話をしてみるといいのではないでしょうか?
指導者は偉くない

3つ目のポイントは「指導者は偉くない」です。
指導者と生徒との関係性について、筆者は次のように発言しています。
昨今では、指導者がまるで神様のように振る舞い、選手が従順にいわれたことを聞くだけという構図が、スポーツで大いに問題になっています。しかしそれは音楽の世界でも至るところに潜んでいました。
笹森壮大:幼児期だからこそ始めたい 一生ものの音楽教育
この話は吹奏楽部の指導や音楽大学のレッスンなどで聞く話になります。
部活動の長時間化が問題視されているが、nickはこちらの方が問題だと思います。
指導者も生徒も同じ人間である
ここで大事になるのは、肩書きにや年齢による上下関係を作らないことです。
肩書きにや年齢による上下関係は儒教の影響による文化になります。
年齢や立場で上下関係を作ってしまうことのデメリットはなんなのか?
それは、生徒が肩書きや楽器の実力で人を判断してしまうようになってしまうことです。
人間の価値は肩書きや楽器の実力で決まることではありません。
上下の優劣など、人間には本来は存在しないはずです。
このような価値観を、子どもに対して刷り込むことはよろしくありません。
楽器を吹くのはあくまで生徒である
レッスンを穏やかに行うコツは、あまり自分ごととして捉えすぎないことです。
特に気をつけてほしいのは、「自分にもできるから、他人も必ずできるようになる」という考え方です。
この考えは、レッスンを行う側にとっては大きな落とし穴になります。
残念ながら、やってもやってもできない生徒もいます。
その点を十分に押さえてください。
イライラを抑えるマインド
それでも「生徒が吹けない姿を見るとイライラする」
という方もいらっしゃると思います。
イライラを抑えるには「できなくても仕方がない」と思うことです。
この考え方は、指導者としては冷たいのでは?ともわれるかもしれません。
ですが、楽器が上達するのは生徒の課題です。
指導者の課題ではありません。
指導者の課題は、生徒を吹けるようするためのアドヴァイスやモチベーションを上げること、または支援することです。
これは、アドラー心理学でいうところの「課題の分離」になります。
この、生徒の課題と指導者の課題を分けられるかは生徒と適切な関係を築けるかどうかの重要なカギを握っています。
そして、課題の分離がうまくできると、生徒の演奏の出来、不出来にイライラすることはありません。
同じ人としてできることはなんなのか?
生徒を「対等な関係」と捉えられれば、できるアドヴァイスのアプローチの仕方も変わると思います。
対等な相手に対して、汚い言葉や高圧的な態度は取らないと思います。
厳しい口調や態度を取らなくても、効果のあるアドヴァイスをすれば生徒は勝手についてきます。
同じ人として生徒に対して何ができるのか?
nickも改めて考えていきたいです。
まとめ

今回のまとめは次のようになります。
・幼児や小さい子供たちにとって、楽譜通りに演奏することはとても難しい
・ネガティブな気持ちを吐き出させて、生徒からの信頼を得る
・肩書きや年齢の上下関係を捨てて、対等な人間として生徒と接する
本書は幼児の音楽指導に関わる方だけでなく、子どもの教育に困っている方にもおすすめの本です。
電子化もされていますので、ぜひ手にとって読んで読んでみてください。
また、著者が代表を務める音楽教室、「アノネ音楽教室」についてはこちらからご覧んになられてください。
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( `Д´)/ジャマタ
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