
どうも、nickです。
木曜の音楽レビューの時間です。
今回紹介する楽曲はこちらになります。
今回は、グスターボ・ドゥダメル指揮、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ演奏の「フィエスタ!」というアルバムを紹介します。
本作品は、南米出身の指揮者による、南米の演奏団体による、南米の作曲家の作品ばかりを集めたCDとなっています。
それだけではなく、演奏団体のはっちゃけた演奏にも注目してほしいCDとなります。
指揮者の紹介

グスターボ・ドゥダメルは南米のベネズエラ出身の指揮者です。
彼は5歳頃からエル・システマ(後述)による音楽教育を受け始めました。
そして、10歳でヴァイオリンを選択し、12歳のときにコンサートマスターを務めていた地元のユース弦楽合奏団で指揮にも取り組むようになりました。
1999年(17歳)にはシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラの音楽監督となり、同楽団や首席指揮者を務めているアメリカ州ユース管弦楽団などと世界各地で演奏することで注目を集める。
その後、プロオーケストラの指揮者となりました。
彼は、アマチュアオーケストラの指揮者からプロオーケストラの指揮者へ転身するという、変わった経歴の持ち主になります。
演奏団体について

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラはベネズエラのアマチュアオーケストラになります。
「エル・システマ」とは、ベネズエラで行われている公的融資による音楽教育プログラムのことで、子どもたちに無償で楽器と演奏の指導を行い、極度に貧しい環境にいる若者を救うための教育プログラムになります。
エル・システマ生徒の中には元ストリートチルドレンで麻薬の密売や強盗を経験した者もいるが、こうした者を更生させたり、放課後に子どもたちを音楽に従事させることで犯罪から守る役割を果たしております。
また、このオーケストラは、アンコールでノリノリの演奏することで有名な団体です。

演奏者もですが、お客さんのノリの良さにも驚かされます。
本作品にも、動画で演奏されている「マンボ」が収められており、観客の歓声などがそのまま収録されています。
名前の由来について
オーケストラの名前の由来となる「シモン・ボリバル」とは、19世紀初頭にスペインの圧政から南米諸国を解放した実在の人物になります。

シモン・ボリバル(1783年7月24日 – 1830年12月17日)は、南米大陸のアンデス5ヵ国をスペインから独立に導き、統一したコロンビア共和国を打ちたてようとした革命家、軍人、政治家、思想家であります。
彼は南米大陸屈指の名家の男子として生まれたが、早いうちに妻を亡くしたことがきっかけとなって、その後の生涯をラテンアメリカの人々の解放と統一に捧げた。このため、ラテンアメリカでは「解放者」 (El Libertador)とも呼ばれました。
オーケストラの名前の由来は、英雄としての彼の業績を称えたものになります。
アルバムの特徴

本作品の特徴は、南米の作曲家の作品を多く収録されている点になります。
また、アマチュアのオーケストラとは思えないほど演奏のレベルが高いです。
あと、トランペットがめちゃいい音です。(重要)
ここでは、本作で取り上げられている南米の作曲家の1人である、「ヒナステラ」について触れたいと思います。
ヒナステラについて

アルベルト・エバリスト・ヒナステラ(Alberto Evaristo Ginastera,1916年 – 1983年)は、アルゼンチン出身のクラシックの作曲家です。
彼はラテンアメリカでもっとも重要なクラシック作曲家の一人になります。
また、タンゴの作曲で有名なアストル・ピアソラは、ヒナステラの弟子にあたります。
※ピアソラの代表作のリベル・タンゴ↓どこかで聞き覚えがあるのではないでしょうか?
ヒナステラの代表作で、本作品にも収録されている「エスタンシア」とは、アルゼンチンやチリで見られる大規模な農園や牧場のことを指します。

「エスタンシア」は民族的な要素に加えて、ストラヴィンスキーなど影響から変拍子やオスティナート(同じリズムが長く繰り返されること)を多用しています。
演奏にはオーケストラにピアノなどの多くの打楽器を加えた、若干変則的な編成が必要となります。
また、全曲版では1人のテノール(兼・ナレーター)も加わるという変わった試みも行われています。
作曲にあたってヒナステラはアルゼンチンの農村部を実際に訪問しており、農園での生活を参考に作曲を進めたそうです。
南米の農村という珍しい題材となっており、演奏は新鮮に聞こえると思います。
今回紹介したCDは、南米出身の指揮者、演奏団体、作曲家による作品と、南米づくしの珍しいCDとなっています。
皆さんもぜひお聴きになってください。
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