【教員必読】脳が目覚めるカギは「心理的安全状態」と3つのキーワード?教育にも応用できる脳のパフォーマンスの上げ方とは!

教育
nick hosa
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どうも、nickです。

月曜の書籍レビューの時間です。

今回紹介する書籍はこちらになります。

今回は青砥瑞人氏のBRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とはについて解説します。

本書では次の3つをコントロールすることで脳のパフォーマンスは高まると書かれています。

・モチベーション

・ストレス

・クリエイティビティ

今回はなぜこの3つをコントロールすることで脳のパフォーマンスが上がるのか?

そしてnick的雑感としてこれらを教育の現場に応用するには?

大きくこの2つについて解説していきます。

モチベーションは心理的安全状態が作る

モチベーションに限った話ではありませんが、脳のパフォーマンスを上げるためには心理的安全状態を作ることが大前提であると筆者は述べています。

この心理的安全状態とは何なのでしょうか?

全てのカギをにぎる「心理的安全状態」

心理的安全状態を作るためには次の状態を取り除く必要があります。

・恐怖

・不安

・曖昧さを感じている

・過剰なストレス

・飢餓や不眠などの1次的欲求

これらが取り除かれなければモチベーションが上がることはありません。

あわせて筆者は次のように述べています。

モチベーションが高まる大前提として、この心理的安全状態は欠かせない。心理的安全状態が保たれない限り、新しい学習や挑戦に対するモチベーションは生まれず、ストレスから生命を守るための回避へモチベーションが向いてしまう。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

自分の生命が安全な状態になければモチベーションを上げるどころではありません。

心理的安全状態であることは他の2つの項目でも大事になります

なので、心理的安全状態がどのような状態なのかを頭に留めながら読んでいって下さい。

何がモチベーションになるかは人によって違う

何が原因でモチベーション上がるかは人それぞれです。

なので、他人に当てはまることが自分に当てはまるとは限りません。

同じように、自分に当てはまることが他人に当てはまるとも限らないのです。

そもそも他人と自分のモチベーションのあり方は、 DNAレベルで異なり、体験による記憶が異なり、脳の配線が異なる限り、大きく異なる可能性が高いという点だ。 自分のモチベーションが高まるからといって、同じ要因によって他人も高まるとは限らない。しかし、人は自分と同じことを他人にも当てはまると無意識のうちに判断してしまう傾向がある。他人には他人のモチベーションの高まりやすい要因がある。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

何が「快」と感じるかは人それぞれです。

それはお金なのか?名誉なのか?人から感謝されることなのか?異性にモテることなのか?

なので、まずは自分にとって何が「快」なのかを知ることです。

今までの人生で「快」と感じたことはないでしょうか?

思い返す中にモチベーションをあげるヒントが隠されています。

自分で決めたことの方がモチベーションが上がる

人は、人に決められた行動よりも自分で決めたことの方がより前向きに取り組むことができるそうです。

理論的な理由は次のようになります。

人間が自分の行動を最終的に意思決定して行動に移すときに使われる脳の部位は、背外側前頭前野(dlPFC)である。このdlPFCは、価値記憶やエピソード記憶、感情記憶をふんだんに参照し、過去の経験から類推して判断する。しかし、誰かに言われて意思決定するとき、この脳機能は使われない。この脳機能を使うためにも、自分の脳を使って自分で決めるのが重要なのだ。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

物事を深く考えるためには、ただ思考するだけではなく過去の出来事を振り返り、その時自分が抱いていた感情や情報を引き出すことも必要になります。

dlPFCの機能は準備段階のない状態(人から急に言われて強制的にやらされる)では作動しません。

なので脳である程度の準備期間、つまりは「予習」が必要なのです。

「勉強するときには予習が大事」

よく聞く言葉ですが、この言葉は科学的に正しいことなのです。

「気づき」に気づけるか?

「何が自分のモチベーションになるのかがわからない」

と思われる方もいるかと思います。

実はこの「何が自分のモチベーションになるか」に気づけるかどうか?

これが1番難しいのです。

「気づき」を得るヒントを、筆者は次のように述べています。

朝、いい天気だったとしても、それに気づいて気持ちよくなれるか、何気なく通り過ぎてしまうのかは、結局のところ本人次第である。何かを飲んでいるとき、何かを食べているとき、おいしいと感じながら飲食するのか、ただ機械的に飲食してしまうのか、そのタイミングは自分でしか作れない。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

自分がどんなときにワクワクするのか?気分いいのか?

ということに気づくことがモチベーションを作り上げる基礎となります。

そしてその瞬間を何度も思い返すことで「快」の情報が脳内で芽生えます。

そうすると「快」の状態を維持し続ける仕組みを脳が勝手に作ろうとします。

人は無意識に欠点ばかりを見てしまう習性があります。

意識的に良いところを見つけることが「気づき」を得るコツになります。

ストレスは味方につけろ

適度なストレスは脳のパフォーマンスを上げる

このようなストレスに関する研究結果は多数の報告が上げられています。

たとえば記憶力を試すテストでは、制限時間を長く設定するよりも短く設定した方が集中力やその後の記憶の定着率の成績が高かったという実験結果があります。

このようにストレスには、ネガティブに作用するストレスだけでなくポジティブに作用するストレスもあるのです。

このポジティブに作用するストレスを味方につけられるかどうかで、脳のパフォーマンスは違ったものになります。

ポジティブなストレスと心理的安全状態との関係

具体的にポジティブなストレスいうと、たとえば「成功体験を伴ったストレス」が上げられます。

「キツい練習を乗り越えたから優勝することができた。」

「あの経験があったからこそ今の自分がある。」

こういったエピソードがポジティブなストレスになります。

このような体験があると、ストレスをポジティブな記憶と紐付けて脳のパフォーマンスに昇華させることができるようになります。

ネガティブな情報をうまく書き換える方法を身につけることが大切になります。

しかし、過剰なストレスは心理的安全状態を脅かしてしまうので注意が必要です。

極度の緊張状態では考えたくても考えられなくなってしまうからです。

なぜなら脳は過剰なストレスを受けると、危機から「逃げる」か「戦うか」の2択迫るようなってしまうからです。

またひどいストレスを受けた体験を思い返すと、自分自身でストレスを生み出すことにもなります。

嫌なことは思い返さないようにしてください。

曖昧な状態がもっとも負担になる

社会人の方であれば「どのような指示を上司が出すのか読めない」というのが非常にストレス感じる方もいるにではないでしょうか?

人の脳は曖昧な状態が最もストレスに感じるのだそうです。

「曖昧なこと」や「知らないこと」を減らすことで脳への負担が減り、心理的安定状態に持っていくことができます。

またはそれらの要素を受け入れ、「曖昧なことは学習して学びに変えよう」とか「知らないことがあってラッキー!勉強になる!」

といったようにポジティブな内容に変換してしまう方法もあります。

ストレスに気づけないと鬱になる

これは少し脱線する話になるかもしれませんが、ストレスに「気づけない」人ほどうつ病の発症率が高くなるそうです。

私たちは、「ストレスを感じている状態」に気づくことではじめて、ストレスとして認識ができる。気づいてラベリングするからこそ、私たちは「ストレスを感じている」と言葉にできる。だから、内側でストレス反応をしているだけの状態と、その状態を認知するのとでは、使っている脳も、そこからの反応も異なる。その点をしっかりと頭に入れておく必要がある。 なぜストレスに気づくことが重要なのか。 たとえば、ストレスがないと言い続けている人のほうが、うつ病になりやすい傾向があると考えられる。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

「ストレスがある」と気づいた状態だと、そのストレスに対処するための反応が脳では起こります。

しかし、ストレスに気づけないと、そのストレスが与える悪影響に気づくことができず、気づいた時には重症になっているということになるのです。

痛みに鈍くなってしまうことは肉体的にもマイナス要因となることと同じことが、心理的にもおこるのです。

「何かがおかしい」というのは脳からのメッセージです。

違和感をそのままにはしないようにしてください。

クリエイティビティは作れる

クリエイティビティに関する研究は近年盛んに行われるようになりました。

そして神経科学の分野の研究が進んだことにより、クリエイティビティは後天的に獲得が可能な能力であることがわかりました。

これはなぜなのでしょうか?

順を追って説明していきます。

ヒントは楽器の演奏にあった

筆者はとある実験を根拠に、クリエイティビティは獲得可能な能力であると推測しています。

その実験とは、ピアニストの方に同じ楽譜を「楽譜通りに演奏する」場合と「感情を込めて演奏する」の2通りの演奏をしてもらい、その時の脳の働きを調べるというものでした。

すると「楽譜通りに演奏する」場合と「感情を込めて演奏する」のとでは使われる脳の部位が違っていたことがわかりました。

クリエイティビティは抽象的であるがために、先天的な能力ではないかとされてきました。

しかし、この実験から意識的にクリエイティビティを高められるヒントが得られました。

物事をどのように捉えるか次第で脳の使い方が変わるということです。

不確定さこそがクリエイティビティを生む

人間とAI比較したときに、人間の持つ強みとは何なのか?

筆者は次のように述べています。

人類の脳の特徴であり強みは、学習のあり方の曖昧性や不確実性である。学習した内容の処理も曖昧で不確実であり、内外の干渉を大きく受ける。そして、なまものである脳の持つ曖昧性、非再現性、近似的認識、多面的変化、内外干渉という「揺らぐ情報と情報処理」がクリエイティビティを発揮する一助になっている可能性が高い。したがって、クリエイティビティを育むための第一歩として、我々の脳の持つ曖昧で不確実な情報とのやり取りに対する気づきと受容が重要になるだろう。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

「学習のあり方の曖昧性や不確実性」はAIにはない人間にしかない強みなのです。

なぜなら、その曖昧性や不確実性こそがクリエイティビティを産むからである。

また筆者は次のようなアドバイスもなされています。

いつもと違う場所で仕事をする。普段は行かないプールで泳ぐ。特別な日にサウナに入る。これらは日常的に身体や脳に届けられる情報と異なるはずなので、いままでとまったく同じように情報処理されるとは限らない。気分転換するように、環境を変えるのもクリエイティビティを引き出す一つのきっかけとなる。研究室で何年も試行錯誤しても閃かなかったのに、旅先で突如閃いたりする事例なども、その例と言えよう。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

普段と違う環境に身を置くことで、脳は通常とは違うモードで情報を処理するようになります。

気分転換をすると、今まで考えても出なかったアイディアが浮かんだという経験がある方も多いと思います。

それにはちゃんとした理由があったのです。

クリエイティビティを育む2つの方法

ではクリエイティビティを育ませるにはどうすれば良いのか?

その方法として筆者は2つの方法を挙げています。

1つ目は自分にとって「新しい」と思うことを発見すること

2つ目は脳をデフォルトモード・ネットワークにすること

それぞれ説明します。

自分にとって「新しい」と思うこと発見する

この問いに対して筆者は、自分にとって新しいアイディアを人に低く評価されても決してやめないことであると答えています。

クリエイティビティを育むための「マジック」などない。いかにクリエイティビティ脳を活用し続けるか、脳の創造プロセスを活用し続けるか、それらを継続し続けるかがクリエイティビティを高める。重要なのは、他人に低く評価されたからといって、やめないことだ。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

また次のようにも述べられております。

このように、誰かがアイデアを出し、それに対するさまざまな賞賛や批判が出てくるのは日常的に見る光景だ。しかし、このようなやりとりにおいて、「アイディアを出す人」と「アイディアを評価する人」の立ち位置を区別して理解するのが、クリエイティビティを理解し育むためには重要である。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

「アイディアを出す人」と「アイディアを評価する人」は別物なのです。

したがって、自分にとって「新しい」と思えるものを生み出すことが大切なのです。

そもそも自分にとっても他人にとっても「新しい」と思えるアイディアというのは極めて少ないものです。

他人にとって「新しい」ことよりも、自分が「新しい」と気づけることが大切なのです。

「新しい」ことに気づくにはたくさんの思考が必要となります。

なので、ここでも自分が心理的安全状態であることが必須となります。

脳をデフォルトモード・ネットワークにする

人が新しいアイディアを産む瞬間には様々な状況や環境があります。

しかし新しいアイディアが生まれるときの起点は、必ず脳がデフォルトモード・ネットワークの状態のであると筆者は語ります。

デフォルトモード・ネットワークは、あれをやろう、これをやろうと、意識して行動している時ではなく、自分の心臓の音を聞いたり頭の中で思いつくことを考えたりするなど、自分自身の内側にあるいろいろな状態に目を向けているときに作動する。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

このデフォルトモード・ネットワークを活性化させるには、筆者は瞑想をおすすめしています。

「5分でいいので、呼吸に集中して心を静めてください」 最近流行の瞑想やマインドフルネスである。呼吸に集中することに慣れていない人は、ほんの 5分程度の間に、いつの間にか呼吸への集中を忘れて「このあと何を食べようかな」「あの人と何をしようかな」などと無意識のうちに考えてしまうものだ。風呂に入って体を洗っているときに余計なことを考え始め、ふと気づくとどの部位を洗ったか覚えていないという経験は誰にでもあるのではないか。これらがマインドワンダリング状態で、デフォルトモード・ネットワークが活性化している状態である。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

なお、多くの瞑想のメソッドでは呼吸に集中し続けることを勧めています。

しかし、脳が勝手に考え出すことこそがクリエイティビティの起点になると筆者は語っています。

瞑想でないにしても、「自分が今何を感じているのか?」「あの時どんな感情が湧いたのか?」など、自分に意識を向けることは脳のパフォーマンスを上げる土台となります。

nick的にも瞑想はお勧めできるので、短時間でよいので初めてみてください。

きちんとした方法でなくても、目をつぶって黙っているだけでも効果があります。

nick的雑感 教育への応用

本書の内容は学校教育の現場にも応用できる内容がたくさん含まれております。

それを端的に表している1文を本書から引用します。

教育現場において、次のような光景をイメージできないだろうか。 美術の授業などで絵を描いたとき、当の本人は新しく、斬新な絵を描いたつもりでも、それを評価する先生や友人たちに「センスがない」「もっとこうしたほうがいい」などと言われてしまうケースがある。主体者として創造的で新しく価値があるものを生み出したとしても「そんなの新しくない」「価値がない」「みんな知っている」などのフィードバックをされると、絵を描く意欲が失われる。場合によっては、自分の意に反した無難な絵を描く習慣が身についてしまうことさえある。 主体者がせっかく創造プロセスの脳を活用したとしても、そのプロセスにおいてネガティブなフィードバックばかり受けていたら、創造モチベーションは高まらず、創造プロセスの脳を活用しなくなってしまう。

青砥瑞人:BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

この1文を、生徒と教員の立場として「モチベーション」「ストレス」「クリエイティビティ」に分けて見ていきましょう。

モチベーションの観点で

この絵を描いた生徒は「これは斬新だと」自分で思ったからこそ描いたのでしょう。

それを「そんなのは斬新ではない」と突っぱねてしまっては、彼のモチベーションを下げてしまうことになるでしょう。

ましてや厳しい口調で批判しようものなら、彼は今後絵を描くこと自体をやめてしまうことでしょう。

まずは、彼が「これは斬新だと」思って描いたことを評価してあげるべきでしょう。

ストレスの観点で

教員が生徒の作品を見るたびにあれこれとアドバイスや修正案を提示してしまうと、生徒は慢性的なストレスを抱えてしまうことになるでしょう。

すると生徒は「この先生に絵を見せると何を言われるかわからない。」という新たなストレス自分で発生させてしまいます。

慢性的なストレスを受け続けるうちに、生徒は「何を描いても無駄だ」と思い込んでしまうでしょう。

アドバイスや修正案を出すのであれば、いくつかの例を提示しどの例を採用するのかを生徒に決めさせると良いでしょう。

また、この修正やアドバイスによってどのような絵に変化するのか?を提示してあげると、生徒への負担は軽くなるでしょう。

ストレスは味方に、または軽くしてあげましょう。

クリエイティビティの観点で

この生徒はこの絵が「自分にとって斬新である」と気づけたからこそ描いたのです。

批判することでその芽を潰してしまうこと、今後彼は「斬新だ」と思っても描いて表現することはなくなるでしょう。

それがたとえ、自分にとっても相手にとっても「新しい」ことであったとしても・・・

これは双方にとってマイナスでしかありません。

たとえ彼が描いた絵が双方にとって「新しい」表現でなかったとしても、彼の描いた「新しい」を受け入れるべきでしょう。

それが将来、自分にとっても相手にとっても「新しい」ことを表現する道になるでしょう。

まとめ

今回のまとめは次のようになります。

・脳のパフォーマンスを上げる要素は「モチベーション」「ストレス」「クリエイティビティ」の3つである

・脳のパフォーマンスを上げるには、自分が心理的安全状態であることが大前提である

・ストレスによって脳のパフォーマンスが上がるが、過剰なストレスは人を思考することから遠ざけてしまう

・クリエイティビティは後天的に育むことができ、そのためには自分にとって「新しい」と思うアイディアを出し続けることが大切である

・全ての項目において大切なことは自分の内側に注意を向けることであり、その1つの方法として瞑想を勧めている

今回紹介した以外にも、たくさん脳のパフォーマンスを上げるヒントが本書には書かれています。

興味を持っていただけましたらぜひ直接手に取って本書をお読みください。


nick hosa
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( `Д´)/ジャマタ

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