
どうも、nickです。
月曜の書籍レビューの時間です。
今回紹介する書籍は以下になります。
今回は、昨年惜しまれながらも亡くなられました野村克也氏の「野村再生工場」を紹介します。
再生の鍵は「教えない」こと?

野村氏のベースとなる考えは、安易に技術指導をしないというところにあります。
これは、選手にあえて失敗させることで疑問をもたせ、考えさせることで指導者のアドバイスを受け入れやすくさせるためなのだそうです。
人間は、失敗してこそ自分の間違いに気づくものだ。自分で気づく前に何か言われても、真剣に聞く耳を持たない。たとえ聞いたとしても頭には入っていないことが多い。やってみて、失敗してはじめて、自分のやり方は間違っているのではないかと考えるのである。
野村克也:野村再生工場
実際に野村氏がどのような技術を選手に教えていたかの記述は少ないです。
この、教えないことの重要性はピッチングコーチの吉井理人氏も言及しております。
まずは意識改革から!

そこで、野村氏が監督に就任してまず行うことは選手の意識改革なのだそうです。
毎試合後ミーティングを開き、選手にメモを取らせていたのは有名な話です。
組織づくりで、最初に私が行うことは何か。それは「意識改革」である。「考え方が変われば行動が変わる」。この言葉はヒンズー教にある、心が変われば態度が変わる、態度が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる、運命が変われば人生が変わる。という教えを私なりに解釈したものだが、意識が変われば野球に対する取り組みが変わり、プレーも変わるという意味である。
野村克也:野村再生工場
心が変われば〜のところは聞いたことがある方も多いかと思います。ヒンズー教の言葉だったんですね・・・
技術を身につけるためには意識を変えることがまず先決である。
これはなにも野球のみに限った話では無いと思います。
伸び悩みの共通点は「マイナス思考」

本書の中で野村氏は、伸び悩んでいる選手の共通点として「マイナス思考」の選手が多いことを上げておられます。
「僕はこれで精一杯です」「自分の力はこんなものです」 ほとんどの選手がそう思っている。言葉を換えれば、いわれなき自己限定をしているのである。
野村克也:野村再生工場
このことはコーチングの大家、ルー・タイスのアファメーションの考えとも通じます。
「思考は現実化する」ではありませんが、自分が使っている言葉の通りに自分がなってしまう。
使う言葉というのはそれだけ大きな影響を自分自身に与えてしまいます。
組織のトップに必要なことは何なのか?

では組織のトップや、現場の指導者はどのように部下や選手に接して行けばいいのでしょうか?
野村氏は指導者がするべきこととして、次のように語られています。
したがって、指導者にはそれぞれの人材をよく観察し、彼らの個性を理解するとともに、適性を見極めるだけの眼力ともいうべきものが求められる。
野村克也:野村再生工場
例えばこの「適性を見極める」というところは、吹奏楽の指導でも同じことが言えると思います。
初心者の生徒が、担当する楽器を決めるときに指導する側が見極められるかどうかは、今後を左右する大事なポイントになります。
やってみたい楽器と、向いている楽器は必ずしも一致しません。
しかし、そこのバランスを取るのが難しいところでもあります。
指導者の見極める力が問われるところですね。(´ρ`)
野球はあくまで手段

以上のことを含めた上で野村氏は、野球について自身の思いを次のように語っておられます。
「人生とは生きることが目的であり、野球はその手段」と考えているからだ。「いかに生きるか」を考えるようになれば、当然、野球に対する取り組み方が変わってくる。ところが、過去にある程度の実績を残した選手は、往々にして自分が正しいと信じている。「このままでいい」と思っている。変わる必要性を感じていないし、変わろうという意思もない。
野村克也:野村再生工場
あれほどの選手であった野村氏を持ってしても、「野球は手段」であるといい切っています。
貧しい学生時代を過ごした野村氏だからこその哲学であると思います。
しかし、現代を生きる我々であっても見習うところはあると思います。
人にはそれぞれ得意なものがあります。
それがたまたま勉学であったりスポーツであったり、芸術であったり・・・
指導者だけではなく、自分で自分自身の適性を見極められることも大切であることを示しています。
人生を生きていくために、何で勝負していくのか?
とても考えさせられます(´д`)
まとめ
「ぼやき」やID野球が良く取り上げられることの多い筆者ですが、その根本の考え方がよく分かる書籍でした。野球に限らず、組織を運営する人にとっては参考になる話が多く語られています。プロ野球ファンのみならず、手にとって読んでいただけたらと思います。
コメント