【大人のための中学音楽】攻略の鍵は「予習」にあり!?ヴィヴァルディの「春」を徹底解剖します!

ヴィヴァルディ
nick hosa
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どうも、nickです。

木曜の音楽レビューの時間です。

今回ヴィヴァルディの紹介の続きになります。

まだ読まれていない方は、こちらから先にお読み下さい。

楽器編成について

「春」の楽器編成は以下のとおりとなります。

独奏ヴァイオリン

第1、第2ヴァイオリン

ヴィオラ

通奏低音(チェロもしくは鍵盤楽器)

通奏低音とは、今でいうとコードネーム付きのバスパートのことです。

楽器の指定が特に無いのが特徴です。

「春」は弦楽器のみの編成となっております。

音色の種類が少ないことも、この曲がシンプルで聴きやすい要因となっておりおます。

ソネットに従って曲を追う

この曲はソネットという詩が添えられております。

このソネットを追っていきながら、場面ごとの解説をしていきます。

「春が陽気にやってきた」

ここは主題が提示される場面になります。(蛍光ペンで線引された部分がメロディです)

主題とは曲全体を通したメインのメロディになります。

この主題は他の旋律(エピソード部)と交互に出てきます。

また、全く同じではなく音の高さを変えて出現したりもしています。(春の到来を告げる〜と黒い雲が空を覆い〜の後)

このことを頭に入れて曲を聞くと、鑑賞の難易度がグッと下がります。

「鳥たちが楽しい歌で挨拶をする」

ここがこの曲初めてのエピソード部になります。

ここで皆さんに少し質問をしてみようと思います。

鳥は何匹いる?

さて、ここのソネットには「鳥たち」となっていますが、いったい鳥は何匹いるのでしょうか?

なお、この場面の楽譜はこの様になっております。(cant de gl`uccelliからtuttiまで)

楽譜を見ると、この場面は3人で演奏していることがわかります。

ということは、鳥は3匹なのでしょうか?

しかし、トリル(tr~)や16分音符の連符などによって、3匹以上いるようにも聞こえるかと思います。

結論から言うと答えはありません。

根拠もって説明、意見が出来るか?が大切

あえてこのような質問をしたのには意味があります。

それは、「なぜそう感じたのか?」を根拠を持って説明できるのか?というところが、鑑賞の授業では大事になるからです。

「なぜそう感じたのか?」の「なぜ」の部分には様々理由が出てくるかと思います。

この理由を説明出来るかどうかが大事になります。

これを、話すでもは紙に書くでも何でもいいと思います。

理由はなんでもいいのですが、ただ「なんとなく」ではなく、

「楽譜がこうなっているから」

とか

「こんな強弱記号が書いているから」

であるとか

「明るく聞こえるから」

などといった、具体的な理由を説明する力が社会で必要だからなのです。

なので、音楽の授業で鑑賞があり、この授業が必要不可欠なのだとnickは考えます。

「春の到来を告げる風が泉に吹きかけると、どの泉も優しくささやき出す」

楽譜は3小節目からになります。

主題と比べると跳躍が少なく、リズムもなだらかであります。

このことから風は穏やかで、泉の吹き出しも柔らかいものでであると推測できます。

この穏やかさは、次のエピソード部との対比ともなっています。

「黒い雲が空を覆い、春を告げるために選ばれた稲妻と雷鳴がやってくる」

ここでは、他の作曲家の曲での雷の表現を比較して聴いてみたいと思います。

比較①R.シュトラウス:アルプス交響曲

46:30あたりから50:40までが嵐の場面になります。

サンダーシートという金属の薄い板を震わせることで雷の音をモロに表現しています。

また風の音もウインドマシーという道具を使っています。

どちらの楽器も49:42で映し出されています。

比較②J.シュトラウスⅡ ポルカ「雷鳴と稲妻」

バスドラムのロールが雷の音に聞こえなくもない?ように思えます。

ヴィヴァルディの「春」では、弦楽器の素早いトリルや独奏ヴァイオリンの3連符で表現しているのだと思われます。

このように聴き比べると、どの時代、どの作曲家も考えていることは同じなように感じます。

「その後、静まると、小鳥は魅力的な鳴き声とともに戻ってくる」

この場面ですが、「鳥たちが楽しい歌で〜」の場面と同じパートがメロディを演奏しています。

このことから同じ鳥が戻ってきたのではないか?と推測できます。

この後、主題が繰り返されて曲が終わります。

もう1度1楽章を聴いてみましょう

今までの話を踏まえて上で、もう一度1楽章を聴いてみましょう。

どうでしょうか?各場面の表現を聞き分けることができたでしょうか?

最初に聴いた時とは印象が違うかもしれません。

2、3楽章はどうなっている?

2、3楽章も1楽章と同じようにソネットが添えられています。

残りの楽章もソネットと合わせて聴いてみましょう。

2楽章

2楽章のソネットは次のようなものになります。

 牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉はガサガサ音を立てる。
羊飼は眠り、忠実な猟犬は私のそばにいる。
弦楽器の静かな旋律にソロヴァイオリンがのどかなメロディを奏でる。
ヴィオラの低い音が吠える犬を表現している。 

葉の音や吠える犬など聞き取れたでしょうか?

3楽章

3楽章のソネットは次のようなものになっています。

 陽気なバグパイプにニンフと羊飼いが明るい春の空の下で踊る。 

バグパイプとはイングランドの民族楽器で、このような見た目です。

音はこんな感じです。

バグパイプの特徴は、ドローン管という低音が真っ直ぐ鳴り続けるための管があることです。

動画で聞くと、メロディ以外に低い音がまっすぐ鳴り続けているのがわかると思います。

これを踏まえた上で3楽章を聴いてみましょう!

バグパイプを模した低音があったことに気づいたでしょうか?

まとめ:ある程度の「予習」が必要。

nickは、クラシック音楽をきちんと鑑賞するためにはある程度の予習が必要であると考えています。

どのような楽器編成なのか?

楽曲の構成はどうなっているのか?

楽器の演奏だけなのか?歌や背景となる詩や設定があるのか?

特に、オーケストラなどの歌詞を伴わない楽曲についてはある程度予習しておかなければ、取っ付きづらくなってしまいます。

言葉がないのでなおさらなのです。

しかし、このような観点で様々なクラシック音楽を鑑賞することによって、予習しなくても鑑賞できるようになっていきます。

今回の解説が、皆さんの人生の教養に繋がりましたら幸いです。

最後に

前回の記事を書く際に、参考にした書籍を紹介しておきます。

3巻編成なのですが、ヴィヴァルディが対象となっているのは1巻目になります。

読みやすく、わかりやすいのでnickは3巻とも持っております。

よろしければ読んでみて下さい。

今後も中学校の鑑賞教材を解説していこうと思います。

皆さんが少しでもクラシック音楽に興味持っていただけるよう励みます。


nick hosa
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( `Д´)/ジャマタ

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