【大人のための中学音楽】シューベルトの「魔王」攻略のための3つのポイントを解説します。

シューベルト
nick hosa
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どうも、nickです。

今回はシューベルトの解説の続きになります。

前回の記事を見ていない方はこちらからどうぞ。

楽曲解説

それでは詳しい楽曲の解説に移ります。

大まかな内容

この曲はテノールの独唱とピアノ伴奏による歌曲になります。

テノールというのは、男性の高音域パートになります。

楽譜だとこのあたりの音域になります。

画像ではテノールはヘ音記号となっていますが、ト音記号(ソプラノやアルトの楽譜)で書かれることが多いです。

ト音記号で書くとソプラノとだいたい同じ様な書かれ方になります。

この曲では1人で4人の登場人物を歌い分ける必要があります。

登場人物は次の4名になります。

  1. 語り手
  2. 父親
  3. 息子
  4. 魔王

イントロの印象的なピアノの連打は、馬が走る様子を表しています。

この連打は曲の最後まで続きます。

歌の内容はおおよそ以下の通りになります。

熱を出した息子を医者に連れて行くため、息子を腕に抱いて夜の闇を馬で駆け抜ける父親。

息子は高熱にうなされ、幻聴に襲われる。

風に吹かれた枯れた葉や木々が、まるで魔王の囁きに聴こえるのだ。

息子は結局途中で息絶えてしまう。

次の項目では、この曲の何を聴けばいいのかを解説します。

魔王攻略の3つのポイント

では、実際にこの曲の何を聴いていけばいいのでしょうか?

nickが考える魔王攻略のポイントは3つあります。

その3つとは「調」、「伴奏のリズム」、「登場人物の書き分け」になります。

1つずつ説明していきます。

長調と短調

この世にあるクラシック音楽のほとんどの楽曲は、「長調」か「短調」のどちらかに分かれております。

長調は明るい曲調に感じることができます。

短調は暗い曲調に感じることができます。

では、魔王の調は長調なのか?短調なのか?どちらなのでしょうか?

一度聴いてみましょう。

明るいか暗いかで考えると、暗く聞こえるのではないでしょうか?

結論としては、魔王は短調の曲になっております。

よくわからん!と思う方もいるかも知れませんので、聴き比べをしてみようと思います。

短調の曲を長調にすると?

まずはこちらをお聴き下さい。

暴れん坊将軍の「殺陣のテーマ」ですね。

上様が悪人をバッタバッタ斬り伏せていくときのBGMになります。

上様
上様

成敗!

この曲は短調となっております。

では、この曲を長調にするとどうなるのか?こちらをお聴き下さい。

どうでしょうか?だいぶ雰囲気が変わったと思います。(スーパーで流れてそう・・・)

作曲上は長調、短調どちらでも問題はありません。

しかし、悪人を斬り伏せていく場面であることを考えると、短調の方が適切であるでしょう。

魔王に話を戻しますが、暴れん坊の例からも作曲上、魔王を長調で作曲しても短調で作曲しても問題はありません。

しかし「魔王」のストーリーを考えた時には、短調を選択する方がいいのであろう。

長調にするのか?短調にするのか?

これはどんな楽曲にも当てはまります。

聴いている曲の調は何なのか?なぜその調を作曲者は選択したのか?

これらを意識して聴いてみて下さい。

伴奏の音形

伴奏の印象的な3連符も、楽譜を書き直して比較してみたいと思います。

まずは通常の楽譜のイントロになります。

では、この伴奏を8分音符にするとどうなるでしょうか?

かなりもさっとした感じになると思います。

調の話と重なりますが、作曲上はどちらでも問題はありません。

しかし、命の危機にさらされている息子のために馬を走らせているのですから、3連符の伴奏の方が緊張感が出ると思います。

ただなんとなく3連符にしたわけではないとnickは思います。

登場人物の書き分け

この曲の特に秀逸である点は、4人の登場人物を楽譜上で書き分けをしている点になります。

楽譜上でどのように書き分けがされているのでしょうか?検証していきます。

語り手

語り手の出番は最初と最後になります。

最初の場面は主題の提示になります。

マーカで弾いている部分が語り手のメロディになります。

どの登場人物のメロディも、おおよそこのリズム、フレーズ感になっております。

さり気なく「こんなメロディーが今後出てきますよー」と、今後の展開を暗示しています。

また、最後の場面の楽譜は次のようになっています。

accelerandoは「だんだん速く」という意味になります。

これは、父親の焦る気持ちであったり、馬が走る速さが早くなっていくなどの解釈ができると思います。

そして、最後の手前で伴奏の連打が止むのは馬が走るのを止めたことが想像出来るかと思います。

連打が終わった後に、ダラダラと引っ張らずに急に曲が終わる展開がいい。

父親

父親のパートの特徴は、他の登場人物のパートに比べて音域が低く、音の跳躍が少ないことが挙げられます。

最初の内は息子をなだめるためなのか、低く動きの少ないフレーズになっています。

しかし、息子の恐怖心が伝染しているのか、曲が進むにつれて音の動く幅が広がっていきます。

このように、声の高さや音の動き方で父の心情の変化を表しているのではないかとnickは考察します。

息子

息子のパートで特徴的なのは、追い詰められていく様子が音の高さで表現されている点になります。

息子のパートは次のようになっています。

最初の「お父さん!」と呼びかける場面のフレーズの最初の音はレの音になります。

2度めの時はミの音になります。

最後の呼びかけの時はファになっています。

段々と音が高くなっていっているのがわかります。

恐怖心がどんどん高まっていることを表しているのだとnickが分析します。

曲を書いていって、たまたまこうなったとは考えにくいです。

作曲者の意図的なものを、この楽譜からは感じ取れます。

魔王

魔王のフレーズは、他の登場人物に比べると跳躍進行が多く、リズムも自由に変化がなされています。

あの手この手で誘惑している様子を表しているのだろうか?

音域も比較的中〜高音域に集中している様に見えます。

そして、魔王の2度めの登場の場面。

ここだけ伴奏の音形が変わっています。

最後の場面

最後の音(力ずくで〜)のところのみ低い音が割り当てられています。

この様に、楽譜上で見ても4者4様の書き表し方になっているのがわかるかと思います。

聴いた印象だけでなく、楽譜上から読み取れるかどうかも大切な要素になると思います。

原語か日本語訳か?

「魔王」は視聴する音源や動画によっては、日本語に訳されたものを歌っているものもあります。

どちらを聴けばいいのでしょうか?

個人的には原語(ドイツ語)で歌われているものを鑑賞するべきであると考えます。

日本語訳版も、非常に上手く翻訳されているのは確かです。

しかし、nickにはどうしてもメロディが不自然に聞こえてしいます。

作曲者は、ドイツ語で歌うことをありきで言葉にメロディを付けたのです。

本当に楽曲を理解したい、させたのであればドイツ語による翻訳されていないものを聴くようにしてください。

まとめ

「魔王」鑑賞のポイントは以下にまとまります。

なぜその調、そのリズムを作者が選択したのか?

暴れん坊将軍や3連符の例などから、なぜ作曲者がその調や音符を選択したのか?

ほとんどの場合はたまたまではなく、意図的であるとnickは考えます。

こういったことを推測しながら聴くと、クラシック音楽の鑑賞は面白くなると思います。

登場人物をどのように楽譜上で書き分けをしているのか?

シューベルトは極めて巧みに、そして意図的に登場人物を楽譜上で書き分けを行っています。

聴いてなんとなくではなく、楽譜から読み取れるかどうか?

こういった楽譜の読解力が大切になります。

最後に、もう一度動画を添付しておきます。

今までの解説を踏まえて聴いてみて下さい。

今回の解説を通して、少しでもクラシック音楽に興味を持っていただけたら幸いです。


nick hosa
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( `Д´)/ジャマタ

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