どうも、nickです。
大人のための音楽鑑賞の会です。
今回から解説する作品はこちらです。
今回はカール・オルフ作曲の世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」についてわかりやすく解説していきます。
上の動画の曲はみなさんテレビ等を通して聞いたことがあると思いますが、どのような曲なのかを知らない方は多いのではないでしょうか?
今回は前編、後編の2回に分けて、この作品を解説していきます。
前編となる本記事は、作曲者であるカール・オルフについて解説していきます。
作曲者について
カール・オルフ(Carl Orff、1895年 – 1982年)は、20世紀ドイツを代表する作曲家の一人で、オペラやバレエ、器楽曲、合唱曲など、多彩なジャンルの作品を残しました。
そのほかにも、子供のための音楽教育に関する業績がよく知られています。
生い立ち
カール・オルフはドイルのバイエルン州ミュンヘンの軍人家庭に生まれました。
音楽とは無縁の家系でしたが、家族は早くからオルフの音楽の才能を見出し、それを伸ばす事に協力しました。
その後オルフは公立学校を中退しミュンヘン音楽学校で専門的に音楽について勉強するようになります。
第一次世界大戦中であった1915年から1919年までは一時的に兵役につき、軍楽隊ではドラム演奏を担当していました。
戦後はギュンターバルト音楽学校で教鞭をとり、後に同校の校長となりました。
オルフは1930年代になると、子供たちが音楽を楽しむことを目的とした音楽教育法を提唱し始めました。
この教育法はリトミックの影響を受けており、リズムや歌、打楽器を使って子供たちが自由に音楽を創造することを促す教育法になります。
オルフが提唱したこの教育法は、後に世界中で広く普及しました。
また、この頃に作曲された世俗カンタータ『カルミナ・ブラーナ』がドイツ国内で成功したことによって、作曲家としても成功を収めました。
ですが、第2次世界大戦の影響でドイツと他国との文化の交流が断絶していたため、カール・オルフの名が国外で知られるようになるのは演奏がレコード化された59歳頃になってしまいました。
オルフは1982年に死去しましたが、その業績は今もなお多くの音楽家や教育者によって愛され、尊重されています。
音楽教育における功績
カールオルフは音楽教育において教材や教育プログラムを開発することにも尽力しました。
例えば、自身の作品である「カルミナ・ブラーナ」を使った音楽教育プログラムや、子どもたちが演奏するための楽器を開発するなど、教育現場における実践的な貢献も行っています。
オルフの音楽教育法は、1930年代にオルフとその同僚であるガンゲルト・ケーテ・ヴェーナーによって創設されました。
オルフは音楽を学ぶ子どもたちが、楽しみながら自由に音楽を創造することができるように、リズムや歌、打楽器などを用いた教育方法を提唱しました。
この方法は子どもたちが自分たちで音楽を創り出すことに重点を置いており、具体的にはリズムやメロディー、即興演奏など、自分たちで音楽を創り出すための手法を教えることに重点が置かれています。
この手法は、古代ギリシャの教育理論に基づいているとされており、自然に発生するリズムや音楽に焦点を当てることで子どもたちの自己表現や協調性を促すことにつながります。
オルフの音楽教育法は、世界中の音楽教育において広く受け入れられています。
オルフ自身も音楽教育者として世界各地で講演やワークショップを行い、教育者たちに自身の教育法を広めました。
こうした功績から、オルフは音楽教育の分野において、革新的な教育者の一人として高い評価を受けており、今日でも世界中の音楽教育者たちによってオルフの音楽教育法が広く用いられています。
具体的な教育方法
オルフの教育法では子どもたちがリズムに合わせて歌ったり、手拍子を打ったり、楽器を演奏したりすることで、音楽の基本的な要素を身につけることができます。
具体的には、以下の3つのような方法が用いられます。
・歌唱 歌唱は、オルフ法における基本的な方法の一つです。リズムに合わせて歌ったり、合唱をすることで音楽的感覚や聴覚を養うことができます。 ・リズム リズムを学ぶためには、主に手拍子や足踏みなどを行います。オルフの教育法ではリズムを体で感じることが大切とされています。 ・打楽器 打楽器はオルフの教育法において重要な役割を担います。子どもたちは、シンバルやタンバリン、木琴などを演奏することで、音楽的感覚やリズム感覚を身につけることができます。
これらの活動を行うことによって、子どもたちは音楽的感覚やリズム感覚を身につけるだけでなく創造性や表現力も育むことができます。
また、グループで活動することで協調性やコミュニケーション能力も向上するとされています。
作品の特徴
オルフの作品の特徴は、和声・旋律・リズムのすべてが単純さや、明快さ、力強さにあふれている事です。
これは恐らく、音楽教育の研究による影響が大きいと思われます。
オルフはモンテヴェルディのオペラ「オルフェオ」の編曲をきっかけに、中世の音楽や詩を取り入れた作品を多く発表しました。
次回詳しく解説する「カルミナ・ブラーナ」も中世時代の詩を用いています。
そのほかにも舞台音楽劇「カトゥーリ・カルミナ」など舞台音楽を中心の多くの作品を残しました。
こちらの「カトゥーリ・カルミナ」は、全25曲からなる作品で、合唱、ソリスト、そしてオーケストラが使用されておりたいへん大規模な音楽劇となっています。
作品の内容は、宗教的なものから世俗的なものまで多岐にわたり、人生の喜びや悲しみ、特に愛を歌った詩が多く取り上げられています。
そのためか、ここではとても書けないような際どい表現があったりします。
この音楽劇の中でオルフは古代ローマの詩人カトゥルスの詩も使用しており、その詩に基づいて作曲された曲も含まれています。
オルフの作品の多くは、このように中世音楽や民族音楽からの影響が色濃く、力強く華麗なものとなっています。
まとめ
今回のまとめは次のとおりです。
- カール・オルフは近代ドイツの作曲家で、主に劇音楽を中心に作品を発表した。
- 音楽教育の分野においても、独自の教育法で高い評価を得ている
- 作品は中世の音楽や詩を用いた作風が多い
次回は「カルミナ・ブラーナ」の詳しい解説をしていきます。
いかがだったでしょうか?
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( `Д´)/ジャマタ
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