どうも、nickです。
17世紀初頭から18世紀半ばまでのバロック時代について解説します。
バロックとは?
バロックという語はポルトガル語 barocco (いびつな真珠)が由来であるとされ、過剰な装飾を持つ建築を批判するための用語として18世紀に登場しました。
転じて、17世紀から18世紀までの芸術一般における、ある種の様式を指す語として定着しました。
この時代はルネサンス音楽と古典派音楽の間に位置しており、絶対王政の時代とほぼ重なっております。
オペラの起こり
ルネサンス後期の16世紀末、フィレンツェのカメラータにより古代ギリシャの演劇を復興しようという動きが始まりました。
1597年、フィレンツェの作曲家ヤコポ・ペーリによって最初のオペラとされる作品『ダフネ』が上演されました。
この作品が、詩と音楽が一体となった最初のオペラと見なされています。
ただし、台本はすべて現存するが音楽は断片のみしか残されていないため、現代では演奏されることはありません。
モンテヴェルディの登場と「オルフェオ」
そんな中、16世紀から17世紀にかけてイタリアにクラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi1567年 – 1643年)が現れます。
モンテヴェルディは「ダフネ」の影響を受けて、次のように思いました。
大人数の演奏者を使ったギリシャ神話を題材にしたオペラを書くぞ。
この時書いた彼のオペラ『オルフェオ』(1607年)は、今日でも上演される最古のオペラとして現在でも知られております。
17世紀末にはフランスでもオペラが根付き、ジャン=バティスト・リュリによるオペラ・バレエが登場しました。
これは歌劇とバレエが組み合わさった形態で、後の時代のフランス・オペラの基盤を築きました。
楽譜の出版が始まる
15世紀中頃にヨハネス・グーテンベルクによって活版印刷が開発されました。
これにより、書籍の大量生産と情報の普及が可能となりました。
このことは、音楽の世界にも大きな影響を与えました。
音楽の楽譜は手書きで書き写されることが一般的でしたが、活版印刷の導入により大量生産が可能となりました。
最古の活版印刷による楽譜の出版は、オッタヴィアーノ・ペトルッチ(1466~1539)よる曲集『Harmonice Musices Odhecaton A』になります。
これ以降、16世紀後半から17世紀にかけてヨーロッパ各地で音楽の楽譜が活版印刷されるようになり、音楽の普及が促進されました。
また、「楽譜を販売する」というビジネスが成立したのも、この頃からになります。
ヴィヴァルディの活躍と「四季」
この頃の重要な作曲家として、アントニオ・ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi, 1678年 – 1741年)がいます。
25歳で司祭に就いたヴィヴァルディは、次のように言いました。
身寄りのない女の子たちに合唱を教えるぞ
1703年ごろよりヴィヴァルディは、ピエタ慈善院付属音楽院でヴァイオリンの教師として奉職する一方、慈善事業の一環として孤児の女子に対して音楽教育を熱心に行いました。
ヴィヴァルディの指導により、ピエタ慈善院の合奏・合唱団の技量が飛躍的に伸び、一躍有名となります。
ヴィヴァルディは1703年から1740年までに断続的にヴァイオリン教師、作曲家として務めました。そして、彼の器楽曲の多くがここの女性たちのために作曲されたものでした。
そんな中ヴィヴァルディは、『和声と創意の試み』という作品の中で有名な「四季」を作曲しました。
※参考(ヴィヴァルディと「春」について)
バッハの功績
1685年、ドイツでヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685年 – 1750年)が誕生しました。
バッハはバロック音楽の重要な作曲家の一人であると同時に、鍵盤楽器の演奏家としても有名であり当時から即興演奏の大家として知られていました。
バッハは当時複雑化、過剰化した対位法を整理し、洗練してゆきました。
また、バッハは幅広いジャンルにわたって作曲を行い、オペラ以外のあらゆる曲種を手がけました。
このことが後世で評価され、現代では西洋音楽の基礎を構築した作曲家であると評価されています。
このことから、日本の音楽教育では「音楽の父」と称されています。
※参考(バッハと「小フーガト短調について)
ラモーの和声論
この頃フランスではジャン=フィリップ・ラモー(Jean-Philippe Rameau 1683年 – 1764年)が活躍していました。
ラモーは「優雅なインドの国々」などの始めとするオペラ=バレ(17世紀後半から18世紀初頭にかけてフランスで発展したオペラとバレエの要素を組み合わせた舞台作品)を多数作曲しました。
一方で、ラモーは次のようなことに取り組みました。
和声について理論的に本にまとめるぞ
ラモーは1722年に「自然の諸原理に還元された和声論」という書籍を完成させ、出版しました。
ラモーは根音や転回形といった現代の和声法では当たり前の概念を
また、ハーモニーという語を和音や和声の意味で用いた初の作曲家でもありました。
このことから、ラモーは機能和声法と調性を体系的に理論化した最初の音楽理論家として知られています。
「自然の諸原理に還元された和声論」は以後、後世の音楽家や音楽理論家に大きな影響を与えました。
バロック音楽の特徴
バロック時代の音楽には、次のような特徴があります。
対位法の時代
バロック音楽は対位法の時代であるとも言えます。
この時代の対位法は複数の旋律線が同時に進行し、それぞれが独立しているにも関わらず、調和的な全体を形成します。
この時代に完成された対位法的の技法により、異なる楽器や声部が複雑に交錯しながら豊な表現が可能になりました。
先に出てきたバッハの作品が、特にその特徴をよく捉えています。
装飾音と自由な音楽的表現
バロック音楽は、装飾音や自由な音楽的表現が特徴的であります。
装飾音は豊かで複雑であり、演奏者の技術や表現力を試す役割を果たします。
また、演奏家は楽譜に厳密に従うだけでなく、即興や自由な表現を含めることが一般的でした。
舞曲の影響
バロック時代には、舞曲が重要な位置を占めていました。
特に、各国の宮廷や社交場で盛んに演奏されたバロック舞曲(アルマンド、メヌエット、ジーグなど)は、多くの器楽曲や組曲の中で見られます。
宗教音楽との関係
バロック音楽において、宗教音楽は重要なジャンルでした。
バロック時代では教会カンタータやオラトリオ、ミサ曲などといった宗教的なテーマを扱った作品が多く作曲されました。
これらの作品は、壮大な合唱、管弦楽、そして宗教的な教義を表現するのによく用いられました。
劇的な表現
バロック音楽はしばしば劇的な表現を特徴としています。
オペラやオラトリオでは、物語の進行や登場人物の感情を表現するために、豊かな旋律や劇的な和声の展開が用いられました。
また、器楽曲でも情熱的な動機や劇的な対話が見られます。
参考
Wikipedia 音楽史
すぐわかる! 4コマ西洋音楽史 1~古代・中世~バロック初期~
洗足オンラインスクール
はじめての音楽史: 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで
音楽史 <作曲家とその作品>
いかがだったでしょうか?
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( `Д´)/ジャマタ
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