【大人のための中学音楽】バッハの「小フーガト短調」を「目」と「耳」で理解するための聴き方を解説します

バッハ
nick hosa
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どうも、nickです。今回はバッハの小フーガト短調の解説の2回目になります。

この回では小フーガト短調の曲名の意味パイプオルガンという楽器、そして曲を「目」で見る鑑賞についてお話しします。

前回の記事をご覧になられていない方は、まずはこちらをご覧になって下さい。

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小フーガと短調という曲名について

「大バッハ」ことJ.S.バッハが作曲した小フーガト短調とはどんな曲なのか?

まずはその背景から説明します。

どんな曲?

「小フーガ ト短調 BWV 578」は、1703年から1717年の間に作曲されたとされるパイプオルガンのための曲です。

小フーガがあるなら、大フーガはあるのか?

という話ですが、実は大フーガと言う曲もあります。(幻想曲とフーガ BWV 542)

Bach - Fantasia and fugue in G minor BWV 542 - Van Doeselaar | Netherlands Bach Society

こちらの曲の方が長い曲なので大フーガ、今回解説する曲の方が短い曲なので小フーガと呼び分けをしています。

では、曲名にある「フーガ」と「ト短調」の意味はなんなのでしょうか?

フーガとは?

フーガと言うのは、1つの旋律を高さを変えて展開させてく楽曲形式のことを指します。

「高さを変えて」と言うところがポイントで、同じ高さで追いかけさせるとカノンと言う別の呼び名になります。

カノンはいわゆる「かえるの歌」のことです。

♪かえるの合唱 - ♫ かえるのうたが きこえてくるよ〈振り付き〉

この、1つの旋律が高さを変えていく様子が聴き取っていけるかどうかが、フーガを聴くときのカギとなります。

そのコツは後ほど解説します。

ト短調とは?

「ト」は日本語の音名で、ドレミに直すと「ソ」の音を表します。

音名については別の記事で詳しく説明していますので、そちらをお読み下さい。

また、短調とは旋律の種類のことで雰囲気を示す言葉になります。

ほぼ全ての楽曲は長調か短調に分かれており、長調は明るく短調は暗く聴こえるのが一般的です。

つまり、ト短調とは「ソ」の音から始まる短調で作られた曲であるということになります。

長調、短調の話はシューベルトの「魔王」の回でお話しさせていただきましたので、詳しい説明は割愛します。

詳しくはこちらの記事をお読み下さい。

なぜこの曲をやるのか?

ではなぜ小フーガを中学校の授業で鑑賞するのか?

nickが考える理由は2つあります。

・丁度いいシンプルさだから

バッハの作品は一見複雑そうに聴こえるのですが、使っている旋律は実にシンプルなものとなっています。

変化していく旋律の聴き取りを近現代の作品で聴いていこうとすると、曲の作りが複雑なので難易度が跳ね上がります。

まずはシンプルな作りの曲から初めていくという観点から、バッハの比較的短いこの曲が採用されているのだとnickは考えます。

・音色が1つで聴きやすいため

本作品はパイプオルガンのみによる演奏なので、聴くべき音色が絞られています。

今回の重点である「旋律がどのように展開されているのか?」を聴きとるためには、音色が1つの方が難易度が低くなります。

そのため、この曲が鑑賞教材として採用されているのだとnickは考えています。

パイプオルガンという楽器について

ここではパイプオルガンと言う楽器について触れておきます。

成立と発展

パイプオルガンは古代ギリシャの時代に成立したそうです。

当時は水圧を利用して空気を送り出す仕組みだったようです。

紀元前の水オルガンの復元図

その後、13世紀ごろヨーロッパの教会に導入されるようになりました。

そして、15世紀後半から16世紀にかけて改良が加えられ、現在の形に収まったそうです。

また、オルガンが日本に伝来したのはこの時期で、1581年に初めて日本でパイプオルガンが設置されたそうです。

17世紀から18世紀前半のバロック時代にパイプオルガンは全盛期を迎え、バッハを含む多数の優れた演奏家が現れます。

パイプオルガンは、その教会やホールに合わせて作られます。

そのためさまざまな姿形のパイプオルガンが存在します。

パイプオルガンの特徴

パイプオルガンの特徴としては、次の3つが挙げられます。

複数の鍵盤

パイプオルガンは複数の段数からなる鍵盤を使って演奏します。

この鍵盤の段数や配置はパイプオルガンによって異なっております。

どこをどう使って演奏するかは、次のストップと合わせて演奏者が決めます。

数多くのストップ

パイプオルガンの特徴的な装置に「ストップ」と呼ばれる装置があります。

鍵盤の横にあるドアノブのような装置をスライドさせることによって、パイプに流す風を制御しています。

このストップの設定次第で、パイプオルガンは出す音を変えることができます。

どういった音にするかどうかも、演奏者の腕が試されます。

足にも鍵盤がある

パイプオルガンは足元にも鍵盤があるため、足も使って演奏をします。

主に低音域が足鍵盤に集約されております。

映像などで見るときは、演奏者の足元も見てみてください。

結構必死に動かしています。(`・ω・´)

なお、パイプオルガンを小型化し、電子化したものがエレクトーンになります。

楽曲解説

それでは、小フーガは何を聴いていけばよいのでしょうか?

鑑賞のコツは、楽曲を「目」で追っていくことになります。

音楽は目に見えないじゃないか!

と思われると思いますが、今回は動画を使って音楽を見えるようにしながら聴く方法で鑑賞していきます。

旋律を「目」と「耳」で追っていく

小フーガの鑑賞にいく前に、少し練習をしてみようと思います。

練習用 パッサカリア

バッハが作曲した曲に「パッサカリア」と呼ばれる曲があります。

パッサカリアとは、低音パートの旋律が変わらず曲の最後まで続き、上に重なっているパートがどんどん違う旋律に変わっていきながら進んでいく曲になります。

まずはこの曲の楽譜を、目で追っかけていって目を慣らしてみましょう。

パッサカリアの低音のメロディーは次のようになっています。

多少変化する場面もありますが、次の動画の1番下の段の低音パートは上のメロディーをひたすら繰り返していきます。

(なお、曲の後半は今回解説しているフーガ形式となっています。)

実際に動画を目で追いかけながら聴いてみてください。

なんとなく曲の作りが「目」で掴めたでしょうか?

小フーガを目で追っていく

では、小フーガも「目」で追っていきながら聴いてみましょう。

小フーガの主旋律は次のようになっています。

フーガの場合はこのメロディがいろんな段に現れ、音の高さが変わっていきながら出現してきます。

「目」だけでなく「耳」で高さの変化を感じながら動画を見ると、うまく旋律を追いかけていけると思います。

次の動画を使ってトライしてみてください。

どうでしたでしょうか?

楽譜が読めなくても、今起きている展開が掴めたのではないでしょうか?

「フーガ」と名のつく楽曲は、どのように旋律が変化していくのかを聴いていく曲になります。

最後に耳で追っていく

では最後に演奏のみの動画を「耳」で聴きながら旋律の移り変わりを聴き取ってみて下さい。

J. S. Bach - Fugue in G minor, BWV 578 - T. Koopman

うまく「耳」追っていきながら聴けたでしょうか?

「フーガ」がどのような作りになっているのかを理解しながら聴くのとそうでないのとでは、聴こえ方が変わってくると思います。

受け継がれていく技術

バッハが極めた対位法という技術は、次の世代の作曲家達にも受け継がれていきます。

小フーガで使われていた「高さを変えて展開する」という技法が引き継がれていった例として、ベートヴェンの交響曲第5番「運命」が挙げられます。

曲の中間で高さの違う最初のメロディーが出てきたのがわかったでしょうか?

バッハが培ったフーガの技法は、後の作曲家達に脈々と受け継がれていきます。

現代のポップス音楽でよく使われる転調もこの延長線上にあります。

曲の最後のサビの部分が、今までよりも高く変化しているのがわかるでしょうか?

この技術も、元を辿るとバッハに行き着きます。

こうした音楽の発展の経緯を見ていくと、いかにバッハが歴史上重要な人物であったかがわかります。

なので、クラシック音楽の世界に限らずバッハは偉大であると言われているのですね。

ベートーヴェンの5番は別に詳しく解説いたしますので、「よくわからんかった!」という方はそちらを見るようにして下さい。

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まとめ

今回のまとめは次のようになります。

・フーガとは1つの旋律を高さを変えて展開させてく楽曲全般を指す。

・小フーガを鑑賞するのは、旋律の展開がわかりやすく聴き取りやすい楽曲だからである。

・フーガと呼ばれる曲を聴くときは、主旋律の展開を耳で追って聴いていけば良い。

・フーガの技術は、後の世代に引き継がれ現代にまで発展していく。

世の中は便利になっており、楽譜を追っていきながら曲が聴ける動画というのは結構あります。

そういったものを補助で使うことで、今までは難しかったと思われるクラシック音楽を鑑賞することの難易度は下げられます。

今回の記事がその助けになりましたら大変嬉しいです。

次回はベートーヴェンの「運命」を解説していこうと思います。

nick hosa
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いかがだったでしょうか?

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( `Д´)/ジャマタ

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