【大人のための音楽鑑賞】3つのポイントでよりわかる。カルミナ・ブラーナについてわかりやすく解説!

C.オルフ
nick hosa
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どうも、nickです。

大人のための音楽鑑賞、カルミナ・ブラーナの後編になります。

後編となる今回はカルミナ・ブラーナという曲についてわかりやすく解説していきます。

前編をご覧になっていない方はこちらからどうぞ。

 

作品の概要

カルミナ・ブラーナは、ドイツの作曲家カール・オルフが作曲した合唱とオーケストラのための作品です。

この作品は、中世ヨーロッパの詩集「カルミナ・ブラーナ」から選ばれた詩に基づいて作曲されました。

詩集には、宗教的な詩や愛の詩、飲酒や遊興に関する詩などが含まれており、オルフはこの詩集から選ばれた詩を音楽的に表現することで、中世ヨーロッパ人の生活や感情を描き出しました。

詩について

カルミナ・ブラーナは元々、13世紀に編纂された中世のラテン語詩集のことを言います。

カルミナ・ブラーナは、ドイツのベネディクトボイエルン修道院の聖堂楽団の楽譜として発見されました。

ベネディクトボイエルン修道院の全景

詩の多くは聖職者や修道女が書いたもので、その数は300編にもおよびました。

詩の内容は宗教や道徳、愛、酒、ルール、世俗的な楽しみなど様々なテーマが含まれており、その内容からは中世社会の姿を垣間見ることができます。

また、詩はラテン語だけでなく一部には中世のドイツ語や古フランス語で書かれています。

オルフはこの詩集から数篇の詩を選んでカルミナ・ブラーナを作曲しました。

以後カルミナ・ブラーナは、中世の詩に新たな息吹を吹き込み、現代においても広く演奏される名曲となっています。

なお、単独演奏されることの多い「カルミナ・ブラーナ」ですが、本来は独唱者、バレエが音楽を象徴的に表現する舞台作品であるため、しばしば歌劇場ではバレエを伴って舞台上演されます。

鑑賞のポイント

カルミナ・ブラーナを鑑賞する際のポイントは次の3つになります。

  1. 圧倒的な迫力
  2. 歌詞の意味
  3. 原曲を知る

圧倒的な迫力

「カルミナ・ブラーナ」は舞台形式によるカンタータ(合唱曲)であり、大規模な編成であることも相まって圧倒的な迫力を持った楽曲であります。

「カルミナ・ブラーナ」は、中世の詩集から手に入れた詩を元に作った曲ですが、オルフが編曲したことでリズムやメロディーに新たな要素が加わっています。

特に、オープニングとエンディングで演奏される「おお、運命の女神よ」はそのリズムやメロディーが特徴的であり、聴きどころの一つでもあります。

楽曲の作りや和声進行はシンプルであるがゆえに、ストレートな迫力を聴衆は味わうことができます。

歌詞の意味

「カルミナ・ブラーナ」は、ラテン語で書かれた中世の詩集であり、その多くは宗教的なテーマを扱っています。

詩の内容を理解することで、曲の表現や構成についてもより深く理解できるようになります。

我々がよく聴くカルミナ・ブラーナの中の1曲である「おお、運命の女神よ」の歌詞の役は次のようになっております。

おお運命の女神よ
移ろう月の如く

汝は常に満ち欠けを繰り返す
情け容赦無い忌むべき世界
感情のおもむくがままに
競争 貧困 権力
氷の如く溶けていく

破滅 粗暴 虚無
揺れ動き 定まることなし
恩恵なきままに消え行くのみ
影に潜みベールに覆われ
重く圧し掛かり来る
汝の邪(よこしま)なる戯れに
今や顕わなる背後を晒すのみ

繁栄と美徳は我が身には遠く
運命の為せる業にただ従うのみ
今こそ弦を鳴らせ!
幸運により刺客は滅ぼされん
皆で哀歌を歌い上げるのだ!

おおよその意味としては人生の儚さや不確かさを歌った内容となっており、オルフの編曲も相まって強烈な印象を与える曲となっております。

またキリスト教的な意味合いも含んでおり、神との対話を表現する詩句も含まれていることから中世の信仰心神への畏敬の念も反映されています。

原曲を知る

現在カルミナ・ブラーナの写本はミュンヘンのバイエルン州立図書館に所蔵されています。

ネウマ譜(中世時代の楽譜)が残っている歌については別の写本などから楽譜を復元する試みがなされており、復元された楽譜を用いて演奏する試みもあります。

「おお、運命の女神よ」の原曲版

原曲とオルフによる編曲とのギャップを知ることで、よりカルミナ・ブラーナを興味深く聞くことができます。

nick hosa
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原曲を再現した「カルミナ・ブラーナ」の演奏例。

かなり長いので注意!

全曲版を聴いてみる

全曲版ではソリストによる独唱や少年合唱の場面があったりと、とてもバラエティに富んだ内容となっております。

興味のある方はぜひ全ての楽章を通して聴いてみてください。

まとめ

今回のまとめは次のとおりです。

・カルミナ・ブラーナは中世ヨーロッパの詩集で、カール・オルフによって現代風にアレンジされた。

・シンプルな楽曲構成と合唱の圧倒的な迫力が魅力

・元の楽譜の通りに復刻して演奏する試みもあり、比較して聴くとより深く作品を知る

カルミナ・ブラーナはよく知られた楽曲でありますが、その内容をよく知らずに聴いていた方も多いのではないでしょうか?

今回の解説を機に、より深く作品を鑑賞していただけると幸いです。


nick hosa
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いかがだったでしょうか?

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( `Д´)/ジャマタ

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