【クシナダ姫】神話の怪物を討つ!スサノオのヤマタノオロチ退治を描いた吹奏楽の名曲を解説【前編】

吹奏楽
nick hosa
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どうも、nickです。

わかる吹奏楽解説の回です。

今回解説する曲はこちらです。

今回は樽屋雅徳作曲の「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」を解説していきます。

作曲者について

樽屋 雅徳(たるや まさのり、1978年 – )は、日本の作曲家・編曲家です。

代表作として「民衆を導く自由の女神」「マゼランの未知なる大陸への挑戦」「マードックからの最後の手紙」などがあります。

題材について

本作品はスサノオのヤマタノオロチ退治を題材とした吹奏楽曲になります。

「スサノオのヤマタノオロチ退治」の逸話は古事記に登場する有名な物語になります。

ある時、出雲の国(現在の島根県)にヤマタノオロチと呼ばれる恐ろしい怪物が現れました。

この怪物は八つの頭と八つの尾を持ち、毎年出雲の国から一人の乙女をさらっていき、生け贄として食べていました。

そんな中、スサノオという神様が出雲の国にやって来たときに、彼はクシナダヒメと出会います。

クシナダヒメは、ヤマタノオロチの生け贄として選ばれた一人でした。

スサノオは彼女の悲しみを見かねて、ヤマタノオロチに立ち向かうことを決意しました。

スサノオは、クシナダヒメとの結婚を条件として大蛇に立ち向かうことを申し出ました。

月岡芳年によって描かれたヤマタノオロチ退治

スサノオは酒を大量に作り、それをヤマタノオロチに与えました。

ヤマタノオロチは酒に酔って無防備な状態になり、スサノオはその隙をついて十束剣(または「天羽々斬(あめのはばきり)」でヤマタノオロチの頭を次々と切り落としました。

そして、尾を切ると十束剣の刃が欠け、尾の中から大刀が出てきました。

これが「草薙の剣」(天叢雲剣)であります。

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のちに草薙の剣は天界に献上され、ヤマトタケルの手に渡っていきます。

出雲の地は無事ヤマタノオロチの脅威から解放され、スサノオとクシナダヒメはめでたく結婚しました。

主要な登場人物について

ここからは物語をより深く理解するために、主要な登場人物について解説していきます。

スサノオ

スサノオノミコト(須佐之男命)は、日本神話に登場する神であり、主に『古事記』、『日本書紀』などの古典文献で描かれています。

彼は太陽神アマテラス(天照大御神)の弟であり、豪放磊落な性格や荒々しい行動で知られています。

歌川国輝による浮世絵より

スサノオはイザナギとイザナミという2人の神の間に産まれました。

スサノオは海を治めるように言われたが、母親であるイザナミのいる根の国に行きたいと願ったため、イザナギの怒りを買ってしまい天界を追放されてしまいました。

そこで母の故地である根の国へ向う前に姉のアマテラスに別れの挨拶をしようと高天原へ上るが、アマテラスはスサノオが攻め入って来たのではと思い、両者は対立してしまいます。

身の潔白を証明したスサノオでしたが、それをいいことに次々と粗暴を働き、アマテラスは恐れて天の岩屋に隠れてしまった。

アマテラスの「岩戸隠れ」を描いた絵画

そのため、スサノオは高天原を追放されてしまいました。

高天原を追われたスサノオは、出雲の国で出会ったクシナダヒメをヤマタノオロチの脅威から救うことを条件に妻として迎えました。

ヤマタノオロチ討伐後は須賀の地(現在の島根県雲南市大東町)に留まったとされています。

須賀の地にたどり着いたスサノオは

八雲立つ 
出雲八重垣   
妻籠に   
八重垣作る   
その八重垣を

 という日本で最初の和歌を詠んだとされています。

クシナダヒメ

クシナダヒメ(櫛名田比売)は、日本神話に登場する女神であり、主に『古事記』、『日本書紀』などの古典文献で言及されています。

彼女は美しい姿と豊かな恵みをもたらす稲田の女神として描かれています。

クシナダヒメはアシナヅチとテナヅチ夫婦の八人娘の末娘だったが、夫婦は毎年自分の娘をヤマタノオロチに生贄として喰われておりました。

既に七人の姉が犠牲となり、末娘であるクシナダヒメもとうとう生贄となる時期を迎えてしまいました。

スサノオはヤマタノオロチとの戦いを前にクシナダヒメと結婚することを提案し、彼女の救済と引き換えにヤマタノオロチ討伐への挑戦を受けました。

スサノオの素性を知らないアシナヅチとテナヅチは訝しむが、彼がアマテラスの弟と知ると喜んでこれを承諾しました。

スサノオとの結婚が決まると、クシナダヒメはすぐにスサノオの神通力によってその体を櫛に変化させられました。

櫛になったクシナダヒメはそのままスサノオの髪に挿しこまれ、ヤマタノオロチ退治が終わるまでその状態ままスサノオの戦いを見守っていました。

櫛になったクシナダヒメを頭に挿したスサノオは、見事ヤマタノオロチを退治しました。

その後人の姿に戻ったクシナダヒメはスサノオを結婚し、2人の子を授かりました。

ヤマタノオロチ

ヤマタノオロチ(八岐大蛇)は、日本神話に登場する伝説上の怪物であり、主に『古事記』や『日本書紀』などの古典文献に記されています。

石見神楽における演目「大蛇」

ヤマタノオロチは、八つの頭と八つの尾を持つ大蛇とされています。

「スサノオのヤマタノオロチ退治」のエピソードでは、毎年出雲の国から一人の乙女を生け贄として要求し、その生け贄を食べるという恐ろしい怪物として描かれています。

この習慣に対してスサノオという神が立ち向かい、ヤマタノオロチとの戦いを展開します。

スサノオはヤマタノオロチに挑戦するため、酒を使って酔わせる作戦を立てます。

彼は巨大な八つの盃を作り、それぞれに酒を注ぎます。

ヤマタノオロチがそれぞれの盃から酒を飲むと、彼は酔いつぶれてしまいました。

そして、ヤマタノオロチが酔いつぶれた隙に、スサノオは剣を取り出して彼の頭を切り落としました。

斐伊川との関係

なお、ヤマタノオロチはしばしば「洪水の化身」と解釈されることがあります。

曲名にある斐伊川(ひいかわ)は古くから度々洪水が起こっており、これが伝説の元になったという説があります。

斐伊川の空撮

また蛇行して流れる河は蛇の姿を連想させ、古代の人々はこの河を巨大な蛇神として恐れ、崇拝していたとも言われています。

ヤマタノオロチを洪水、クシナダヒメを稲田の神と解釈することから、「スサノオのヤマタノオロチ退治」はスサノオが洪水を鎮め、田を整え治水を行った話ではないかとも言われております。

そのほかにも、真っ赤なオロチの腹が製鉄の炎を連想させたり、オロチの尾から剣が生まれていることなどから、製鉄文化との関わりも指摘されております。

斐伊川上流の奥出雲ではたたら製鉄が行われていた。

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いかがだったでしょうか?

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( `Д´)/ジャマタ

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