どうも、nickです。
わかる吹奏楽鑑賞の回です。
今回解説する曲はこちらです。
今回はレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ作曲の「イギリス民謡組曲」を解説していきます。
イギリス民謡組曲は、吹奏楽における古典的作品として現在でも取り組まれている団体が多いのではないでしょうか?
前編となる今回は作曲者とその主な作品を紹介をしていきます。
作曲者の紹介
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams 1872年-1958年) は、イギリスの作曲家です。
ヴォーン・ウィリアムズは1872年にイギリスのグロスターシャー州ダウンアンプニーに生まれました。
母方の家系は、イギリス最大の陶器メーカー「ウェッジウッド社」の創設者の家系であっため、ヴォーン・ウィリアムズは生涯裕福な生活を送ることができました。
ヴォーン・ウィリアムズは6歳頃から作曲とヴァイオリンを学び始めました。
音楽大学に入学、のちの巨匠たちと友人関係となる
1890年、ヴォーン・ウィリアムズは王立音楽大学に入学しました。
王立音楽大学時代にヴォーン・ウィリアムズは同郷の作曲家であり、のちに組曲「惑星」を作曲したホルストと友人関係となりました。
※参考 ホルストと惑星について
そのほかにも、ディズニー映画「ファンタジア」で指揮者したレオポルド・ストコフスキーとも知り合いとなりました。
その後ヴォーン・ウィリアムズは、23歳ごろにロンドンでオルガニスト兼聖歌隊指揮者の職につきました。
ヴォーン・ウィリアムズが作曲家として評価されるまで、彼はイギリス民謡の取集と讃美歌の編集に力を注ぎました。
これは後の作品に大きな影響を与えることになります。
ラヴェルとの出会い、作曲家としてのキャリアのスタート
ヴォーン・ウィリアムズは1907年から1908年にかけての間に、パリで3か月間「ボレロ」の作曲で有名なラヴェルから、作曲とオーケストレーションのレッスンを受けることができました。
※参考 ラヴェルとボレロ鑑賞について
その後「トマス・タリスの主題による幻想曲」などの楽曲が発表され、ヴォーン・ウィリアムズは作曲家として徐々に認められるようになりました。
この曲で使われているトマス・タリスの旋律は、ヴォーン・ウィリアムズが讃美歌の校訂作業中に見つけた旋律になります。
大戦への参加
第一次世界大戦開戦時、ヴォーン・ウィリアムズは41歳になっていました。
彼は兵役を完全に逃れることができたものの、自ら軍部に志願して義勇兵として戦争に参加しました。
彼は砲兵守備隊の少尉に任命されました。
ですが、砲火の爆音に長期にわたって晒されたことが後の難聴のきっかけとなってしまいました。
ですが、陸軍の音楽監督に任ぜられたことにより、彼は音楽活動を再開できるようになりました。
戦後書かれた曲の中で、最も有名な曲は「グリーンスリーヴスによる幻想曲」になります。
この曲はイギリス民謡の「グリーンスリーブス」の旋律を引用した楽曲になります。
イギリスの民謡の収集と研究を行なっていた彼ならではの楽曲であります。
戦後の活躍と晩年
戦後も彼の創作意欲は衰えることがありませんでした。
彼は1947年にロバート・スコットの南極探検隊を描いたイギリス映画『南極のスコット』のために音楽を作曲しました。
その後ヴォーン・ウィリアムズは、この映画音楽を再構成し、交響曲「南極交響曲」として発表しました。
またチューバのためのものとしては史上初めて作曲された作品である「チューバ協奏曲」を作曲しました。
その後も彼は作曲を続けましたが、交響曲第9番の初演から4ヵ月後にロンドンで心臓発作のため85歳で亡くなってしまいました。
その他の功績
ヴォーン・ウィリアムズは若い頃、イギリス民謡の収集に力を注いでおりました。
彼はイングランドの各地方に根付いていた民謡が、印刷楽譜の普及に伴って口頭伝承の影が薄くなっているために、急速に失われつつあることに気づきました。
そこで、自ら田舎を訪ねて歩きその多くを編曲して保存することに力を入れました。
これはおそらく、同世代の作曲家であるバルトークの影響が大きいのではないかと思います。
後編にて紹介する「イギリス民謡組曲」は実際のイギリス民謡の旋律を引用して作曲されています。
まとめ
今回のまとめは次のとおりです。
・ヴォーン・ウィリアムズはイギリス出身の作曲家である。
・イギリス民謡や讃美歌の収集に尽力し、自身の作品に生かした。
・チューバのための協奏曲を書くなど、晩年も創作意欲が衰えなかった。
ヴォーン・ウィリアムズがイギリス民謡の収集や研究を行なっていたことを知っておくと、彼の作品への理解がグッと深まりやすくなります。
今回の解説を踏まえた上で、次回「イギリス民謡組曲」の解説にまいりたいと思います。
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( `Д´)/ジャマタ
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