【わかる吹奏楽鑑賞】名曲の条件は民謡にあり?イギリス民謡組曲鑑賞のコツを紹介します!

吹奏楽
nick hosa
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どうも、nickです。

イギリス民謡組曲解説の後編になります。

今回は楽曲の詳しい解説と、民謡を題材とした他の楽曲を紹介していきます。

前編はこちらになります。

楽曲の解説

「イギリス民謡組曲」は1923年に王立軍楽学校の依頼で作曲された吹奏楽作品になります。

初演時は4曲から構成されていたが、その第2曲は後に独立した吹奏楽作品・行進曲『海の歌』として切り離されました。

行進曲《海の歌》

現在ではこの「海の歌」を除いた3曲で演奏されることが多いです。

鑑賞のポイント

本作品の旋律は全てイギリス民謡の旋律が引用されております。

引用されているイギリス民謡を耳で追っていくことができるかどうかが、「イギリス民謡組曲」を鑑賞する上での1番のポイントとなります。

Ex.1 イギリス民謡の例

ここではみなさんが聴いたことのあるであろうイギリス民謡のを紹介します。

ロンドン橋落ちた

London Bridge Is Falling Down Nursery Rhymes Popular Baby Songs

「ロンドン橋落ちた」は誰しもが聴いたことがある曲だと思います。

イギリス民謡というと、このような曲たちを指します。

グリーンスリーブス

The King's Singers - Greensleeves

こちらもよく聴くことの多い曲だと思います。

グリーンスリーブスは16世紀ごろに成立したとされ、一説には時の権力者であったヘンリー8世が作曲したのではないかと言われております。(諸説あり)

ハンプティダンプティ(マザー・グース)

Nursery Rhymes - Humpty Dumpty

イギリの古い童謡を集めた「マザー・グース」は、現在では600から1000以上の種類があるといわれています。

ハンプティダンプティはその中の1曲となります。

詳しい解説

ここからは元となった民謡と合わせて、「イギリス民謡組曲」を紹介していきます。

1楽章行進曲「日曜日には十七歳」

第1楽章では「日曜日には17歳(March – “Seventeen Come Sunday”)」、「可愛いキャロライン(Pretty Caroline)」、トリオで「富める人とラザロ(Dives and Lazarus)」の3つの民謡の旋律が使われています。

「日曜日には十七歳」

I’m Seventeen Come Sunday (British Folk-Music Settings No. 8) (Arr. Percy Grainger)

※こちらはパーシー・グレインジャーによる合唱アレンジになります。

「可愛いキャロライン」

Pretty Caroline - Ellen Powell (1908) [traditional English folk song recorded on phonograph]

「富める人とラザロ」

2楽章 間奏曲「私の素敵な人」

2楽章ではオーボエとコルネットの独奏で現れる「私の素敵な人(My Bonny Boy)」と中間部の「緑の茂み(Green Bushes)」の2つの民謡から構成されています。

「私の素敵な人」

Anne Briggs - My Bonny Boy

「緑の茂み」

Green bushes - unaccompanied English Folk Song - by Christy-Lyn

3楽章 行進曲「サマセットの民謡」

3楽章では「朝露を吹き飛ばせ(Blow Away the Morning Dew )」、「高地ドイツ(High Germany)」、「とても高い木(またはWhistle, Daughter, Whistle)」、「ジョン・バーリーコーン(John Barleycorn)」の4つの民謡が前半部と中間部にそれぞれ2つずつ奏される。

「朝露を吹き飛ばせ」

Blow Away the Morning Dew

「高地ドイツ」

Martin Carthy - High Germany

「とても高い木」

「ジョン・バーリーコーン」

このように全ての旋律が民謡の旋律をほぼそのまま使っていることがわかります。

ですが、きちんと吹奏楽の作品として作り上げられているところが、この曲のすばらしい点であるとnickは感じます。

Ex.2 民謡を題材とした作品

ここでは民謡を題材としたそのほかの作品を紹介します。

バルトーク:ルーマニア民族舞曲

Bartok: Romanian Folk Dances

ルーマニア民俗舞曲はハンガリーの作曲家、バルトーク・ベーラが作曲した6曲からなるピアノの小品の組曲です。

この曲も「イギリス民謡組曲」と同じく、旋律にルーマニア民謡がそのまま使われています。

※バルトークが採取したと思われるレコード音源

Bartók field recordings Romanian Folk Dances

チャンス:朝鮮民謡の主題による変奏曲

"Variations on a Korean Folk Song" by John Barnes Chance

アメリカの作曲家ジョン・バーンズ・チャンスによる往年の吹奏楽の名曲。

この曲では朝鮮民謡「アリラン」の旋律を用いております。

韓國民謡:アリラン/아리랑

アッペルモント:ブリュッセルレクイエム

A Brussels Requiem - Bert Appermont door Festival Brass Band

昨今吹奏楽コンクールでよく演奏されている「ブリュッセルレクイエム」ですが、この曲では、フランス民謡「月の光に」の旋律を引用しています。

nick hosa
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ブリュッセルレクイエムの詳しい解説はこちらからどうぞ

全曲通して聴いてみる

最後に「イギリス民謡組曲」を全曲通して聴いてみましょう。

English Folk Song Suite / Ralph Vaughan Williams イギリス民謡組曲 龍谷大学吹奏楽部

民謡の旋律が、ひとつながりとなって展開しているのがわかるかと思います。

まとめ

 今回のまとめは次のとおりです。

・本楽曲はイギリス民謡を題材とした吹奏楽作品である

・本楽曲で出てくる旋律は、全て実在の民謡の旋律である。

・民謡を題材とした楽曲は他にもたくさんある。

民謡というと古臭いくてダサいイメージがあるかもしれません。

しかし、民謡を題材とした曲には名曲が多いのも事実であるとnickは思います。

民謡の旋律には人をひきつける魅力があるのかもしれません。

「名曲の裏に民謡あり」

ひょっとしたらそうなのかもしれませんね。


nick hosa
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( `Д´)/ジャマタ

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