【大人のための中学音楽】オペラって何?元音楽教員がヴェルディのアイーダをなぜ鑑賞するのかを解説!

ヴェルディ
nick hosa
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どうも、nickです。

大人のための中学音楽の回です。

今回解説するのはこちらの作品になります。

今回はヴェルディ作曲のオペラ「アイーダ」を、2回に分けて解説していきます。

この作品も授業で見た覚えがあるのではないでしょうか?

1回目の今回は、次の3つについて解説していきます。

・作曲者の紹介

・そもそもオペラとは何なのか?

・なぜアイーダが授業で取り上げられるのか?

それでは解説していきます。

作曲者の紹介

ジュゼッペ・ヴェルディは(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi 1813年~1901年)はイタリアの作曲家です。

主にオペラの制作に力を入れていたため、「オペラ王」の異名を持っています。

彼の代表作である「ナブッコ」、「リゴレット」、「椿姫」、「アイーダ」などは現在でも世界中で演じられ、またジャンルを超えた展開を見せつつ大衆文化に広く根付いています。

オペラ以外に有名な作品としては「レクイエム」が上げられます。

誰しもが聞いた事があるであろうヴェルディの「レクイエム」より、「怒りの日」

ヴェルディの生涯

ヴェルディはイタリア北部の小さな村で生まれました。

彼は父の仕事を手伝う利発な少年だったが、音楽に興味を覚え旅回りの楽団や村の教会のパイプオルガンを熱心に聴いていたそうです。

そのような環境にあったことから、ヴェルディの音楽の才能はメキメキと伸びていきました。

最初はオルガン奏者として音楽家のキャリアをスタートさせたヴェルディでしたが、徐々にその才能が認められるようになり、オペラ作曲の仕事が増えていきました。

彼の書くオペラはことごとく大ヒットし、ヴェルディは人気のオペラ作曲家となりました。

オペラ「リゴレット」より:女心の歌

晩年のヴェルディは、オペラで稼いだ財産で農場を経営しながら余生を過ごしました。

また音楽家のための老人ホーム「憩いの家」というものを作るなどの慈善活動にも、自身の財産を投入していきました。

イタリアのミラノにある「憩いの家」は現在でも使用されており、ヨーロッパ市民で65歳以上のアーティスト、作曲家、指揮者、歌手、オーケストラ団員、音楽教師、合唱団員、バレエダンサー、およびその配偶者、未亡人が入居できる。

そもそもオペラってなんだ?

そもそもオペラとな何なのでしょうか?

一言で言うと映画のご先祖さまだと思って下さい。

オペラ成立の歴史

16世紀末にフィレンツェで、古代ギリシャの演劇を復興しようという動きが始まりました。(俗にルネサンスと言います。)

その中で、ギリシャ悲劇を模範に歌うような台詞を用いる劇が考えられました。

これが現在のオペラの原型とされています。

現在でも上演されている最古のオペラは1607年に上演された、モンテヴェルディの「オルフェオ」という作品であります。

モンテヴェルディの肖像画
「オルフェオ」は、オルフェウスの冥府下りの話。動画は古楽器を使って当時の演奏を再現した珍しい演奏。

1700年代になると、劇場は貴族や王族の社交の場として大変重宝されました。

ただし、この時代はオペラを鑑賞するのがメインではなく、劇場に出向くことがステータスとされていたため、観客はオペラにはあまり関心がなく、幕間にワインやシャンパンなどを飲みながら談話することがメインでありました。

また、この頃はカストラートと呼ばれる、変声期前に去勢をして声変わりを抑えた男性歌手が人気を博しました。

映画「カストラート」の1場面。映画では男性の声と女性の声を合成してあたかも男性が高音域を歌っているように見せている。実際に失神してしまう人もいたとか。

1800年代以降、市民階級の人たちが鑑賞するようになってきたため、社交の場という意味合いは薄れ、純粋に作品を鑑賞しにくる場となりました。

以後、当時流行りの小説などを原作としたオペラが上演されるようになり、当時の市民にとっては最高の娯楽となりました。

nick hosa
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今でいうところの「あの人気小説の映画化!」とか「大人気コミックの実写化!」みたいなものですね。

また、オペラは後にアメリカに渡りミュージカルとなります。

20世紀になると映像技術の進歩によって映画が台頭してきます。

そのため、市民の娯楽はオペラから映画に変わっていくことになっていきます。

なぜアイーダなのか?

では、なぜ中学校の授業で「アイーダ」を鑑賞するのでしょうか?

nickが考える理由は

①話のテーマがわかりやすい

②場面ごとの展開がわかりやすい

の2点であると考えます。

話のテーマがわかりやすい

オペラのテーマではよく男女の恋愛が取り上げられることが多いです。

しかし、オペラで扱われる恋愛模様には不倫や不貞、愛憎の果ての殺人や自殺の場面など、倫理的に授業で取り扱いづらい場面が多かったりします。

一方「アイーダ」では、主役の男女の板挟みの恋や他の女性の嫉妬など、比較的中学生でも理解が出来て不健全な内容でもありません。

nick hosa
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最後主役2人は生き埋めにされてしまうんですけどね・・・

場面ごとの展開がわかりやすい

よく授業で取り上げられる場面はおおまかに3つの場面に分かれています。

・エジプト軍の凱旋行進

・バレエのシーン

・登場人物たちのやりとり

これらの場面は目で見てはっきりとわかるようになっています。

それによって、場面ごとに音楽がどのように変化していくのか?

登場人物の心情は?

などといったことの鑑賞の手助けがしやすくなります。

「アイーダ」が教材として取り上げられるのはこういった理由があるとnickは考えます。

まとめ

今回のまとめは次のようになります。

 

・ヴェルディはイタリアの作曲家で、「オペラ王」の異名を持っている

・オペラの成立は1600年ごろであり、モンテヴェルディの「オルフェオ」が現在でも演奏される最古のオペラである

・当時はオペラが最高の娯楽であったが、映画の技術が発達してくことによりその役割が奪われていく

・アイーダが取り上げられるのは、話のわかりやすさ場面変化の理解のしやすさにある

 

オペラを鑑賞する意義は、他国の文化に触れるという点にあるとnickは思います。

日本にも能や歌舞伎といったオペラに近いものがありますが、成立の背景はオペラとは異なります。

その違いを感じながら鑑賞することで、よりオペラが馴染みのあるものになるのでは無いでしょうか?

次回はアイーダの作品紹介と鑑賞のポイントを解説していきます。


nick hosa
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( `Д´)/ジャマタ

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