どうも、nickです。
大人のための中学音楽、「花の街」の第2回になります。
今回はフレーズと詩の2方向から「花の街」の歌い方を解説していきます。
前回の記事をご覧になられていない方は、↓からどうぞ。
作品について
「花の街」は終戦直後の1947年に作曲されました。
その後「花の街」はNHKのラジオ番組、「婦人の時間」のなかの「婦人の歌」のコーナーで放送されたことにより日本全国に広がっていきました。
作曲の背景
團伊玖磨の自伝「青空の音を聞いた」には「花の街」の誕生秘話として次のような記述があります。
昭和22年に伊玖磨が住んでいる家の隣に住んでいる方から歌の作曲の依頼が来ました。
その時に江間章子が書かれた「花の街」の詩を渡されました。
その詩をえらく気に入った伊玖磨は作曲の依頼を承諾しました。
ですが、この歌が流れた頃、日本の至る所はまだ焼け野原だらけでした。
中には地下壕で暮らしていた方もいたそうです。
伊玖磨は次のようなクレームの手紙を何通も受け取ったそうです。
食うものもなく地下壕に暮らしている我々の現状を忘れた「花の街」とは何ごとか。ふざけるのもいい加減にしろ!
ですが、発表されて70年以上経った現在でも、この曲は終戦後の明るさや平和の象徴として人々に知られております。
いつの時代も「炎上」というものはあるのですね・・・
楽曲の解説
ここからは「花の街」歌う上での解釈について説明していきます。
今回は「フレーズ」と「詩の内容」の2つの方向から分析してみます。
フレーズやコード進行から読み取る
歌い始めの8分休符
この8分休符はためすぎないで前に進むように歌うのがいいと思います。
なぜならば、このフレーズは登りのフレーズだからです。
フレーズを登っていくためにはエネルギー(推進力)が必要となります。
これは5小節目も同じになります。
なので、ほんの少しクレッシェンドをかけるつもりで歌うと、ちょうどいいと思います。
わになって、わになって
この場面のコード進行は「Dm⇨Gm⇨A⇨G#dim7⇨F」となっています。
このコード進行は、最後のFに向かってどんどん膨れ上がっていく効果があります。
なので、フレーズの最後に向かって自然とクレッシェンドがかかっていきます。
さらにフォルテ手前の4分音符の音を少し長めにすると、よりよいでしょう。
はるよはるよと
最後の場面の歌い方ですが、ここの歌い出しの「は」を少し長めに歌いましょう。
これは「は」行の発音は聴き取りづらい音だからです。
また、この場面の高弱記号はmp(メッゾ・フォルテ)なので丁寧に表現したいという理由もあります。
よって、こちらの8分休符は少しためたほうが良いと思います。
詩の内容から読み取る
次は詩の内容から表現方法を考えていきたいと思います。
作詞者の解説
中学音楽の教科書には、作詞者による解説が書かれております。
「花の街」はわたしの幻想の街です。戦争が終わり、平和が訪れた地上は瓦礫の山と一面の焦土に覆われていました。その中に立って私は夢を描いたのです。ハイビスカスなどの花が空中に浮かんでいる「平和」という名から生まれた美しい花の街を。
中学1年生用の音楽教科書『中学生の音楽1』(教育芸術社、平成9年)より)
このことから「花の街」は終戦後の復興を願った歌であります。
ことを念頭おきながら読んでいってください。
歌詞から読み取る表現解釈
ここからは「花の街」の歌詞からどのように歌った方が良いかを解説していきます。
歌い出しの歌詞
「花の街」は1番から3番まであります。
その歌い出しは次のようになっています。
- 1番「七色」の谷
- 2番美しい海(青)
- 3番すみれ色(紫)
このようにみていくと、歌が進むにつれて色合いがだんだんと暗くなっているのがわかります。
nick的には1、2番はこれからの日本の希望を歌っており、3番は現状の日本を歌っているのだと解釈します。
では、1番から3番に進むにつれて暗く歌っていけばようのでしょうか?
作詞者の解説などを読むと、実はそうではないことがわかります。
すみれ色した窓
3番の冒頭の歌詞にある「すみれ色した窓」とは何なのでしょう?
戦時中、沖縄では明かりが外へ漏れないようにガラス窓に墨を塗ったり黒いカーテン等で遮っていたそうです。
その炭が落ちていって紫色になったのか?
あるいは夕焼けに照らされたため紫色に見えたのかもしれません。
また作詞者の江間章子氏は、3番の歌詞について次のように語られています。
詩の中にある「泣いていたよ、町の角で」の部分は、戦争によってさまざまな苦しみや悲しみを味わった人々の姿を映したものです。この詩が後になって、いっそう私の幻想の世界は広がり果てしなく未来へ続く「花の街」となりました。
このことから、妙に物悲しい3番の歌詞ですが、未来への希望を望んで書かれたものであることがわかります。
最後のフレーズと3番の歌い方
3番の最後の歌詞は「一人寂しく泣いていたよ」と1、2番とは大きく違っています。
詩の内容、曲全体のラストであることを考慮すると、最後は少し遅く、弱くしていくのが良いと思います。
全曲通して聴いてみよう!
最後に、今までの解説を踏まえた上で「花の街」を全曲通して聴いてみましょう。
解説前と解説後で、印象などは変わったでしょうか?
まとめ
今回のまとめは次のようになります。
・「花の街」は戦後の平和を願った歌である。
・当時は不謹慎であるとの抗議もあったが、現在では平和を象徴する1曲として受け入れられている。
・3番の歌詞に書かれている現実と、その先の未来を歌唱表現できるかがカギである。
現在世界を取り巻く情勢は、とても不安定なものとなっております。
だからこそ、「花の街」のような平和を願った曲が改めて評価されるべきであるとnickは考えております。
こんな時代だからこそ、「花の街」を歌ったり鑑賞したりするのはいかがでしょうか?
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( `Д´)/ジャマタ
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