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楽曲について
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早春賦は大正初期に、東京音楽学校(現在の東京藝術大学)で国語を教えていた吉丸一昌が詩を書き,当時同僚だった中田章に作曲を依頼したことによって生まれました。
吉丸は当時『尋常小学唱歌』の作詞委員会代表でした。
吉丸は自作の75編の詞に新進作曲家による曲をつけて『新作唱歌』として発表しました。
その新進作曲家の一人が中田章でした。
早春賦は2006年から2007年にかけて文化庁と日本PTA全国協議会が選定した「日本の歌百選」に選ばれております。
早春賦の意味は?
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タイトルの「早春賦」とはどんな意味なのでしょうか?
言葉の意味は、おおよそ次のようになります。
早春:春の初め頃 賦:漢詩を歌うこと、つくること
このことから大まかに訳すと「春の初めに歌う歌」という意味になります。
楽曲解説
ここからは早春賦を鑑賞、歌唱する上で大切になる部分を解説してきます。
歌詞について
早春賦は校歌の制作のために訪れた吉丸が、長野県大町市から安曇野一帯の早春の情景と春の暖かさを歌った歌になります。
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歌詞の内容から、およそ立春のあたり(2月頭)の頃を歌ったものと推測されます。
歌詞のおおよその意味
歌詞の現代語訳は、およそ次のようになります。
- 春といわれても名前のみで 風が冷たい谷にいるウグイスが歌うかと思ったがまだその時期ではないと 声を出そうともしない
- 氷が溶けて 葦が芽吹いてきたそろそろ春がきたかと思ったけれども今日も昨日も雪の空だ
- 春だと聞かなければ 気がつかなかったのに聞いてしまったが故に 気持ちが高まってしまうこの時期のこの気持ちはどうしたらよいのだろう
楽曲の特徴と鑑賞のポイント
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早春賦を鑑賞、歌唱していく上で重要となるのは、この歌が子どもが歌うために書かれた歌である点になります。
子どもが歌うための配慮
早春賦は小学生に歌ってもらうことを想定しているため、楽曲の作りがとてもシンプルなものとなっています。
早春賦には子どもが歌うための配慮が細かく3つあります。
- A-B-A形式のシンプルな作り
- 旋律に非和声音が使われていない
- リズムがほぼ統一されている
A-B-A形式のシンプルな作り
早春賦はA-B-A形式というシンプルな楽曲形式を採用しています。
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このようにAとBの2つのメロディーから成る楽曲をA-B-A形式と呼びます。
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メロディーが大きく2つしかありませんので、子供にとっては覚えやすい歌となっております。
A-B-A形式にしたことも、子供が歌うことを想定した配慮であるとnickは考えております。
旋律に非和声音が使われていない
非和声音とは「その時に鳴っている和音構成音にない音」のことを指します。
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早春賦のメロディーには非和声音が一切使われておらず、その時に鳴っているコードの音の中から旋律が奏でられています。
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非和声音を使わないことで、歌う音が伴奏の中にあるのでとても歌いやすい作りとなっています。
これも、小学生が歌うことを考慮しての旋律作りであるとnickは考えます。
リズムがほぼ統一されている
早春賦ではメロディーに使われているリズムがほぼ統一されています。
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画像を見ると、3段目の2小節目と4段目の3小節目以外のリズムが全て同じになっていることがわかります。
これも覚えやすい歌にするための配慮であるとnickは考えます。
最後に通して聴いてみよう
最後に、早春賦を通して聴いてみましょう。
まとめ
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今回のまとめは次の通りです。
・早春賦は当時の新進作曲家による全く新しい唱歌であった
・早春賦は2月ごろの安曇野の風景を描いた作品である
・早春賦には子どもに歌ってもらうための多くの工夫が凝らしている
早春賦の楽譜を読み解くと、子どもが歌うためにとてもよく工夫されていることがわかります。
このことを押さえた上で歌唱指導や鑑賞をすると、今までと違った聴こえ方になるのではないでしょうか?
この記事が、歌の指導や鑑賞のヒントとなれば幸いです。
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