詳しい楽曲解説
「赤とんぼ」は1927年に山田耕筰によって作曲されました。
その後、1955年に公開された映画『ここに泉あり』の挿入歌として使われました。
また、1961年公開の映画『夕やけ小やけの赤とんぼ』の挿入歌としても使われました。
ちなみにどちらの映画にも、作曲者の山田耕筰が特別出演をしております。
その後の1965年に、NHKの番組『みんなのうた』にて紹介されたことにより、広く知られることとなりました。
次からは作曲と作詞の2つの観点から、楽曲を解説していきます。
作曲の解説
「赤とんぼ」の作曲上の特徴は2つあります。
- シンプルな一部形式
- 5音音階の使用
シンプルな一部形式
赤とんぼ8小節のシンプルな一部形式となっています。
1段目と2段目を見くらべると、上下の小節で音型(リズム)がほぼ同じであることがわかります。
音型をほぼ同じにすることで、曲が頭に入ってきやすく覚えやすい歌になっております。
5音音階の使用
赤とんぼでは「5音音階」と呼ばれる音階が使用されています。
5音音階は日本の民謡や童謡などで広く使われています。
そのため、5音音階は日本人にとってはなじみやすく歌いやすい音階となっています。
シンプルなリズムの繰り返しと5音音階の使用が、赤とんぼが広く多くの人に受け入れられたのだと考えます。
作詞の解説
『赤とんぼ』の歌詞は、作詞者・三木露風の故郷である兵庫県揖保郡龍野町(現:たつの市)で過ごした幼少期の情景を基に作詞されました。
赤とんぼの歌詞を読みとく上で重要なのは、「姐や(ねえや)」の存在です。
姐やとは誰なのか?
三木は5歳の時に両親が離婚。
母親とは生き別れとなり、祖父の元で子守り奉公の女中(姐や)に面倒を見てもらっていました。
よって、3番で歌われている「姐や」とは、実の姉ではなく子守り奉公していた女中のことを指していると言われています。
姐やとの関わり
赤とんぼの歌詞を読むと、この姐やと三木本人との関わりが多く描かれています。
例えば1番の「負われてみたのは〜」は、姐やにおんぶされて見た故郷の風景を描いております。
2番には姐やの直接的な描写はありませんが、おそらく姐やといっしょに桑の実を摘んだ記憶を思い返しているのではないかとnickは解釈しています。
3番は三木の元を離れ、嫁いで行った姐やを悲しむ様子が描かれています。
4番は、そんな幼少期の姐やとの思い出に浸っている三木本人を描いているのだと思われます。
このようにみていくと、ひょっとしたら三木にとってこの姐やは別れた母親代わりだったのかもしれません。
金管五重奏にしてみた
以前に「赤とんぼ」を金管五重奏の楽譜にしてことがあるので、こちらで紹介させていただきます。
電子楽譜として販売もしておりますので、よろしければご購入していただけますと幸いです。
改めて赤とんぼを聴いてみよう!
それでは、改めて「赤とんぼ」を鑑賞してみましょう。
今までとは聴こえ方が変わったのではないでしょうか?
まとめ
今回のまとめは次の通りです。
・赤とんぼはシンプルな形式で作曲されており、5音音階によって親しみやすい曲となっている。
・歌詞は三木が幼少期を過ごした故郷について描かれている
・姐やと三木との関係性を知ることが、より深く「赤とんぼ」を鑑賞コツである
何気なく聴いてた「赤とんぼ」ですが、ここまでの解説を踏まえて聴くと今までとは違った印象を持たれるかもしれません。
それが音楽鑑賞の面白さではないかとnickは思います。
今後も音楽鑑賞のコツについて発信していきますので、よろしくお願いします。
いかがだったでしょうか?
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( `Д´)/ジャマタ
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