どうも、nickです。
大人のための音楽鑑賞の回です。
今回から解説する曲は、次の曲になります。
今回から、C.サン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」をわかりやすく解説していきます。
サン=サーンスの作品はお堅いイメージがあるかもしれません。
しかし、今回解説する「動物の謝肉祭」はパロディー的な要素があるため、そこを理解しておくととても鑑賞しやすい楽曲となっています。
1回目の今回は、サン=サーンスの紹介と楽曲の背景について解説していきます。
サン=サーンスって何者?
シャルル・カミーユ・サン=サーンス(1835年 – 1921年)は、フランスの作曲家です。
サン=サーンスは、作曲だけではなく、ピアニスト、オルガニストとしても国際的に活躍しました。
そんなサン=サーンスの生涯と功績をふりかえります。
神童だった幼少期
サン=サーンスはモーツァルトと並び称される神童と呼ばれていました。
彼は2歳でピアノを弾き、3歳で作曲をし10歳でピアニストとしてもデビューしたそうです。
また、1848年に13歳でパリ音楽院に入学して作曲とオルガンを学びました。
音楽院というのは、今でいう音楽大学のことです。
サン=サーンスは特に、オルガンの即興演奏で素晴らしい腕を見せたそうです。
オルガニストとして活躍
オルガン演奏の腕を買われたサン=サーンスは、音楽院を卒業後1857年から1877年にかけて、当時のパリのオルガニストの最高峰といわれたマドレーヌ教会のオルガニストを務めました。
またこの時期に、サン=サーンス最大の功績の1つとして上げられる国民音楽協会を立ち上げました。
国民音楽協会を設立と傑作の数々
サン=サーンスは普仏戦争終了後の1871年に、同じフランスの作曲家であるフランク、フォーレらとともに国民音楽協会を設立しました。
この団体は、入会資格をフランス国籍を持つ者に限定し、フランスの存命中の作曲家の作品だけを演奏する方針をとっておりました。
これによって、フランス人による作品が広く世間に広められると共に、作曲家の収入の安定につながりました。
また、オペラや舞台作品を中心とするフランス音楽界にあって陽の目を見ることの少なかった、管弦楽や室内楽を中心に作曲する音楽家たちによる状況打破の動きも、協会の設立の後押しとなりました。
国民音楽協会に加盟していた作曲家は、フランクやマスネ、デュボア、タファネル、ビゼー、ドビュッシー、ラヴェルなどの著名なフランス人作曲家たちが名を連ねました。
国民音楽協会によって初演された著名な作品としてC.ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』 (1894年)やP.デュカス:交響詩『魔法使いの弟子』 (1898年)などがあります。
【牧神の午後への前奏曲】
【交響詩『魔法使いの弟子』】
また、サン=サーンスはこの時期に『サムソンとデリラ』、『死の舞踏』、交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」などの有名な作品を生み出しました。
【サムソンとデリラより バッカナール】
【交響詩 死の舞踏】
【交響曲第3番ハ短調 「オルガン付き」】
世界で初めての映画音楽を作曲
サン=サーンスは1908年に、『ギーズ公の暗殺』という映画のための音楽を作曲しました。
これが恐らく、世界で初めての映画音楽の作曲であると言われています。
「ギーズ公の暗殺」以降、映画音楽をクラシックの作曲家が行うことが一般的となっていきます。
このように、サン=サーンスはオーケストラから室内楽、映画音楽と幅広く作曲活動を行っていました。
旅行中の死
その後もサン=サーンスは活躍を続け、名誉博士号や勲章などを授与されるなど
ですが、1921年、アルジェリア旅行中にホテルで急死してしまいました。
彼の葬儀は、その多大な功績ににより国葬で執り行われた。
組曲「動物の謝肉祭」について
組曲「動物の謝肉祭」は、1886年にチェリストのシャルル・ルブークが催すプライベートな夜会のために作曲されました。
この夜会では、ピアノパートをサン=サーンス自らが演奏し、フルートはポール・タファネルが演奏するなど、そうそうたるメンバーによって演奏されました。
「動物の謝肉祭」は年内に2度非公開で演奏されましたが、サン=サーンスが生きている間に楽譜が出版されることはありませんでした。
なぜなら、他の作曲家の楽曲をパロディにして風刺していたからです。
他の作曲家の楽曲をパロディにしていることがこの曲の鑑賞のカギとなっておりますが、解説は次回にいたします。
ただし組曲内でオリジナルの作品であった「白鳥」だけは生前に出版していました。
組曲とは?
組曲とは、複数の楽曲を連続で演奏するように組み合わせて並べた楽曲になります。
特に、ホルストの組曲「惑星」などが有名だと思います。
ホルストの「惑星」の場合、7つの惑星の名前を冠した楽曲がセットになっています。(火星、金星、水星、木星、土星、天王星、海王星)
本作は全部で14曲からなり、全て動物にまつわるタイトルでまとめられています。
謝肉祭(カーニバル)について
謝肉祭(カーニバル)とは仮装したパレードが行なわれたり、菓子や花を投げる行事などのことを指します。
もともとはカトリックの行事で、四旬節に先立って行われるお祭りのことを謝肉祭と呼んでいたそうです。
この四旬節に入ると、飲食に限らず生活全般にわたって慎んだ行動を取らなければならなかたったそうです。
四旬節を終えると、イースター(キリストの復活祭)が行われます。
つまり謝肉祭とは、「四旬節の前にどんちゃん騒ぎをしてたくさん遊んでおこう!」という期間になるのです。
謝肉祭の長さは地域によりますが、おおよそ1週間ほどの長さだそうです。
よって本作のタイトルには、普段は食べられる側の動物たちによる謝肉祭という、シャレや皮肉などが含まれているのかもしれません。
また初演の日がマルディグラと呼ばれる謝肉祭の最終日であったことも、何か関係しているかもしれません。
まとめ
今回のまとめは次のようになります。
・サン=サーンスはフランスの作曲家で、国内外で活躍した作曲家である
・サン=サーンスは作曲だけではなく、オルガン奏者としても活躍し、世界で初めて映画音楽の作曲も手がけた
・動物の謝肉祭は全14曲からなる組曲で、動物にまつわるタイトルがつけられている
・「謝肉祭」という言葉には、シャレや皮肉が含まれていると推測される
動物の謝肉祭の中の曲は、みなさんが1度は聴いたことがある曲が多く含まれています。
次回は「動物の謝肉祭」鑑賞のコツをお話ししていきます。
いかがだったでしょうか?
月曜に書籍、木曜に音楽のレビュー、週末には旅の写真紹介を定期的に更新しております。
よろしければそちらもご覧ください。
ツイッター、インスタグラム、YouTubeチャンネルも宜しくおねがいします。
( `Д´)/ジャマタ
※他の音楽鑑賞の解説はこちらからどうぞ
コメント